突如訪れるこむらがえり、つまり足のつりはつらくて痛い。これがしょっちゅうとなれば、その苦しみは想像に余りある。そこで林先生は今回、漢方の立場から足のつりへの対処法をご紹介する。
まず林先生が薦める処方は芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)だ。これは芍薬と甘草という非常にシンプルな処方であるが、足がつった際絶大な効果を期待できる。足のつりでお悩みの方にとっては、必需品ともいえよう。また、服薬が難しい場合には「陽陵泉(ようりょうせん)」というツボを押すと良いそうだ。
だが漢方の大原則は「病気の源を治す」。単に症状を治して満足してはいけない。根本的な原因を除かなければ、また元の木阿弥だからだ。実は漢方では「肝は筋(すじ)をつかさどる」と見る。したがって、肝を十分にケアすること、体を疲れさせないことが大切だ。特に気が胆経や肝経をめぐる夜の11時から3時までの睡眠はカギになる。まさに睡眠のゴールデンタイムともいえる。
疲れた時に足がつり易い。これは多くの人が感じることだろう。この点を漢方の理、すなわち「筋をつかさどる肝がケア不足の状態」に照らすと、見事なまでに一致するのである。
シンプルながら奥深い理をずばりと説く漢方。『漢方の世界』は、今では埋もれてしまった漢方の宝を掘り出し、皆様にご紹介していく予定。どうぞお楽しみに。