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王子製紙抗議事件 上海にも延焼するか

2012年08月02日

 

【新唐人2012年8月2日付ニュース】中国では最近、災害や民衆による抗議が絶えません。北京の豪雨、揚州の地震に続き、今まで穏やかだった江蘇省啓東(けいとう)市でも日系企業・王子製紙の排水管建設をめぐり、大規模抗議が発生しました。王子製紙は30日、コメントを発表し、工場の廃水が地元の水源を汚染しているとの見方を否定しました。情報によると、工場の廃水は去年からすでに長江に排出され、その影響は長江の下流に位置する上海の4千万市民の飲み水にも及んでいるそうです。ネット上では抗議行動が呼びかけられています。
 
7月30日、王子製紙は廃水に発がん性物質が含まれているとの見方を否定し、事実無根だとコメントを発表。王子製紙によると、廃水は十分な処理を施し、中国の基準の限界値を下回っており、問題ないといいます。
 
7月28日、数万人の啓東市市民が大規模抗議を行い、製紙工場の排水管建設に抗議を示しました。
 
当日午後、当局は2万人の警官隊を出動し、抗議する市民を鎮圧。人権組織によると、すでに3人が死亡し、100人以上が拘束されたそうです。
 
官民の激しい衝突に直面し、南通市当局は当日、排水管建設を永遠に撤回すると表明。しかし、工場が今後排出する廃水をどのように処理するのかについては、当局も工場側も説明はなかったそうです。一方、王子製紙は31日から南通工場の生産を再開すると発表。これに対し、市民らは懸念を示しています。
 
ネット上では、朝日新聞の報道が広く転載されています。それによると、工場は去年1月から稼動し、すでに廃水を長江に排出。汚染はすでに長江デルタ全地域に及んでいる可能性があるそうです。
 
あるネットーユーが地図を作成しました。南通経済開発区に位置する王子製紙の廃水が長江に排出されると、下流に位置する上海4千万市民の飲み水にも影響を与えるといいます。
 
北京の環境保護機関の達尔問自然大学水学院の責任者・邵文傑(しょうぶんけつ)さんは、王子製紙の廃水が基準に達したとしても長江に甚大な影響を与えると述べます。
 
達尔問自然大学水学院責任者 邵文傑さん
「排水口の水質が基準に達したとしても、長江に対する影響は非常に大きいのです。長江全体の情況から見ると、下流の水質はますます悪くなり、汚染企業も特に多いので、影響が大きいのです。でないと排水管を海にまでもっていく必要はないでしょう」
 
長江の下流に位置する上海などでもネットユーザーによる非難が殺到。“政府は売国奴だ”、“応急措置だけで根本を直していない”などの批判の書き込みのほか、更には啓東市のような抗議行動をとる必要があるとの呼びかけも見られました。また、“我々はこのプロジェクトの完全撤回を求める。場所を変えての排出は許さない”との書き込みもありました。
 
中国ウォッチャーの戴晴(たいせい)さんは、中国経済のいわゆる高度成長は、二つの面を犠牲にした結果だと指摘します。
 
中国政治と社会ウォッチャー 戴晴さん
「一つは全く権利のない庶民、もう一つは全く権利のない環境と資源です。表面的には繁栄と発展を遂げているように見えても、実際は庶民と資源と環境に傷害を与えています。素晴らしいと思うのは四川什邡市や多くの地方で、一般庶民が立ち上がり、自ら立ち上がって自分の土地を守ろうとしている事です。中国人民がついに目覚め、権利意識が芽生えました。これは何よりです」
 
また、庶民の土地や生活条件が完全に破壊されると、庶民は行き場を失い、窮地に立たされるとも述べました。
 
上海市民
「中国の一庶民として私は本当に不幸だと感じます。(企業が)排出しなくても、我々が飲む水はきれいではありません。野菜も汚れています。食べたご飯にはホルモン剤が入っています。これは執政党の問題で、体制の問題です。体制が変わらないと有効な解決策はありません」
 
王子製紙は2007年より中国で工場を建設し始め、毎日の汚水排出量は15万トンに達する見込みだそうです。
 
ネット上には、“今は王子製紙の第1期目の工事。まだ第2期と第3期がある。全部完成したときには大量の廃水が長江に流されることになる。上海人は工業廃水を飲む心構えをしたほうがいい”との書き込みも見られました。
 
新唐人テレビがお伝えしました。
 
(翻訳/坂本 ナレーター/村上 映像編集/工)

 

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