【新唐人2012年8月11日付ニュース】在米中国問題専門家程暁農さんに、江蘇省啓東抗議事件に対する見方を伺いました。
司会者
「7月28日夜、南通市張国華市長がテレビで、排水管建設を中止すると発表しました。啓東事件はここ1ヶ月で民衆の抗議により汚染事業が中止となった2件目の事件です。前回は四川省什邡市でした。これで他の地方政府にも警鐘を鳴らして、自ら進んで重度汚染プロジェクトを中止し、そしてこの種の環境を守るための抗議事件が大幅に減るのでしょうか」
中国問題専門家 程暁農さん
「この点は疑わしいです。というのも、現在多くの地方政府、特には内陸部の地方政府が追求している経済成長は主に汚染工業プロジェクトに頼っているからです。真のハイテク工業プロジェクトは中国で根を下ろすことはないからです。中国では知的財産権が保護されないので、ハイテクで低汚染の外資企業は技術を中国に盗まれるのを恐れます。多くの外資企業にとって、中国に興味を持つ主な原因はこれらの企業が本当に汚染に対し、処理をした場合、コストが高いので、本国では負担できないのです。だから一部の汚染コストを投資先の国に持っていくのです。投資先の地方政府が干渉さえしなければ、彼らは汚染事業を中国に持ってくるのです。なので、中国が引き付けている多くの外資企業の工業プロジェクトは、主には汚染の誘致に頼っています。逆に言えば、中国がもし厳格に環境法規を実施すれば、多くの外資企業は存続できません。だからこの角度から言えば、四川什邡市と今回の啓東市の事件があったからといって、各地の政府が環境保護基準を引き上げ、外資企業の汚染を止めるとは思いません。多分逆になると思います。彼らは事件から教訓を汲み取り、庶民が汚染情報を得られないようにするのです。一旦庶民が環境保護のために、実質的な行動を取ったときには、地方政府は如何に真っ先に最も強烈な反応を見せ、抗議を初期段階で抹殺するのです」
司会者
「情報によると、啓東市共産党書記・孫建華が免職されたそうです。彼に責任を押し付けています。一方、抗議を招いたこの種の汚染事業は中国では度々審査をとおり、すぐ実行できるのですが、これは一体誰が責任を負うべきでしょうか」
中国問題専門家 程暁農さん
「実はこの啓東市書記はスケープゴートです。汚染は啓東市で発生したのではなく、彼が巻き込まれたトラブルは、別の市の廃水の排水口を啓東市に設置しようとしていたのです。言い換えると、他人が税収を得て、啓東市が汚染を負担するのです。これも啓東市民が強烈に反対している原因です。この事業と今回の事件に責任を持つべきなのは、江蘇省南通市の書記や副書記、市長ですが、今回彼らは後ろに隠れました。もし、南通市の官僚に少しでも責任感があれば、或いは度胸があれば、啓東市民が抗議に出たとき、南通市の官僚は現場に行って説明すべきでした。プロジェクトは南通市のものだだからです。市民の抗議を目にした時、南通市のトップらは南通市に隠れて、啓東市の書記と市長が苦しめられているのを眺めていました。その上、最後には啓東市の市長を免職にしたのです。この事から分かるように、今回の事件は『啓東事件』ではなく、『南通事件』と呼ぶべきです。災いの源は南通市にあるからです。この問題は解決していません。廃水は依然存在し、工場は依然生産を続けており、毎日新しい廃水を出しています。中国国内メディアによると、現在廃水は長江に排出されています。長江の下流には、上海数千万人の人口と江蘇南部の太倉などの水道水の取水口も含まれています。つまり、南通市は上海と江蘇南部の多くの県や市の汚染を代価に、彼らの高汚染企業を維持させているのです」
(翻訳/坂本 映像編集/工)