暑さの厳しい夏になると、怪談話やサスペンス・ホラー映画で世間はにぎわう。怖い話でひやりとしたい。そんな思いからか、真夏には特に人気があるようだ。しかし、子供には要注意である。ちょっとした話でも、ショックを受けて泣き喚くかもしれない。というのも子供の心や神経は敏感で、しかも想像力が豊富だからだ。
ショックが強い場合、単に泣き喚くだけではすまないこともある。下痢や発熱、ひきつけを招くかもしれない。しかも下痢の際、時には赤っぽい便や緑っぽい便が見られる。これは、胆汁に含まれる代謝物のビリルビンやビリベルジンの量が急激に増えたためだ。よく「胆(きも)をつぶした」というが、実は胆嚢が破れたのではなく、ショックによって胆嚢からの胆汁が一気に分泌されたことが原因なのだ。
今回番組でご紹介するのは、ひきつけになった場合に用いる漢方薬だ。それは八宝散(はっぽうさん)。実は八宝散には、多くの貴重で高価な生薬が含まれる。真珠に牛黄(ごおう)、熊胆(ゆうたん)、麝香(じゃこう)、竜脳香、辰砂(しんしゃ)、琥珀(こはく)などだ。実はこれらは魔よけにも使われるものだが、同時に心を鎮める作用もあるという。魔物を除き、ショックを鎮める。これは確かに道理にかなっている。ただし、辰砂(しんしゃ)はきちんと精製されていないと危険なので、使う際には必ず純粋な物であることを確認しなければならない。