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米国が築く中国包囲網―呂秀蓮前副総統が斬る

2010年08月09日

【新唐人2010年8月10日付ニュース】アメリカと韓国の軍事演習が終了したあと、先週、東アジア情勢の緊迫感が増しました。北朝鮮は報復行動を宣言し、中国は山東(さんとん)省や河南(かなん)省で演習を行ったほか、南シナ海でも海軍の大規模な軍事演習を行いました。

これに対し、アメリカはフィリピンに第7艦隊の旗艦を派遣したほか、アメリカ大使は今年初めて、広島の原爆記念式典に参加。ここからは、東アジア各国と関係を強めて、中国の包囲網を作るアメリカの意図が感じられます。本日は、この点について探っていきます。
 
8月4日、アメリカ第7艦隊の旗艦ブルー・リッジがフィリピンを訪問。艦長のラプトン大佐は南シナ海で活発な行動を見せる中国へ、厳しい言葉を述べました。
 
ブルー・リッジ ラプトン艦長
「米大統領は中国を脅威と見ないのに、中国の行為は挑発的です。中国が自分の行為に責任を持てば、争いは生まれません」
 
ブルー・リッジは横須賀港を母港としています。今回のフィリピン訪問からは、アジア各国と関係を深めたいアメリカの意図が透けて見えます。
 
アメリカの戦略では「列島線」という概念が重要です。これは1951年、アメリカのダレス国務長官が初めて打ち出しました。
 
列島線は第一列島線と第二列島線に分かれます。第一列島線は、南シナ海から始まり、ベトナム、マレーシア、フィリピンを通って日本に達します。その西側には、南シナ海とインド洋を分断するマラッカ海峡があります。これは、中国の勢力拡大を防ぐ役目も果たしてきました。
 
アメリカのクリントン国務長官は今年7月23日、ベトナムのハノイで行われた東南アジア諸国連合の地域フォーラムに出席し、南シナ海の安全の大切さを説きました。
 
アメリカの掲げた戦略は当初、冷戦期に、ソ連を始めとする共産勢力を防ぐのが狙いでした。しかし今、ターゲットは、中国に向けられています。
 
台湾の呂秀蓮)前副総統は先日、記者会見を開き、第一列島線における台湾の重要性を強調しました。しかし、最近の中台関係の改善を受けて、中国はこの第一列島線をいとも簡単に突破しました。これが東南アジア諸国の不安を呼び、積極的なアメリカの介入を招いています。
 
呂秀蓮 台湾・前副総統
「これが第一列島線。第二列島線。第一列島線において台湾の役目は肝心です。台湾海峡は公海なので、第一列島線の台湾で、中国をせき止めます。今中国の領海戦略は第一列島線を越えました。ここら辺にあるのは皆日本の小島ですが、今 戦略的価値が上がっています。なぜなら台湾海峡は以前公海でしたが、中国は今これを領海にしました。だから中国の戦略は台湾海峡を考慮しません。台湾海峡を領海と見なしているからです。
 
台湾シンクタンク 頼怡忠・委員
「米の戦略では台湾が肝心です。なぜなら台湾は東アジアと東南アジアを結び、アジアと太平洋の十字路です。中国の潜水艦は皆艦隊も含めて、第一列島線では台湾付近を通ります。台湾の北側も、台湾海峡の南側も、バシー海峡も台湾が基点です。それでも2008年以前は中国はまだ 慎重でした。
 
頼さんの指摘によると、2008年以前から中国の潜水艦は第一列島線を越え、グアムにまで行くことすらあったものの、台湾に対してはまだ慎重でした。しかし2008年以降、対中関係の改善をきっかけに、中国は台湾海峡を領海とする戦略を進め、同時に東シナ海と南シナ海に重点を置き始めます。これこそが、この付近で最近、アメリカ軍と中国軍の一触即発の危機が絶えない理由だと、頼さんは述べます。
 
台湾シンクタンク 頼怡忠・委員
「台湾の戦略的意義ですが、台湾の自衛だけでなく、この海域を固めれば、アジアの第一列島線が、形成されます。つまり、インド洋 マラッカ海峡から、日本と韓国までの安全は
台湾がなければ、この地域一体 輸送安全は脅威に面します。
アジア各国が米国を歓迎するのは、米国がこの公海の安全を確保してくれるので、 各国は
安心して経済に力を注げます。でも今日 台湾が脅威に面し、この地域に空白が生まれました。そのため中国は…。台湾海峡のほか、東シナ海 南シナ海に勢力を伸ばし、米国との緊張が生まれました。これを受け北朝鮮はやりたい放題です。つまり中国の戦略が地域の緊張や米国の包囲網戦略の原因です。これを招いたのは台湾の防衛の変化です。だから中国は東や南へ進出します。結果地域の緊張を招きました。
 
中台間の経済協力枠組み協定、EFCA)の調印後、中国は「軍事関係の相互信頼」に触れました。呂秀蓮前副総統は、中国が台湾に武器購入の中止を促す可能性を述べました。
 
新唐人記者がお送りしました。

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