【新唐人2013年5月16日付ニュース】中国では先日、天然水を売りにしていたミネラルウォーターの有名ブランド“農夫山泉”の製品基準が水道水にも満たないことがメディアによって報じられ、食品安全に対する中国人消費者の最後の希望さえ打ち砕きました。中国ではペットボトル入り飲用水が様々な名称で販売されていますが、“どれが安全できれいなのか”、“なぜ企業の基準がそれぞれ違うのか”は消費者が最も関心を持つ問題です。庶民は一体何を飲めばいいのでしょうか。本日は中国の飲用水事情に迫ります。
ペットボトル入りミネラルウォーターは水道水より衛生的で、安全だと思われがちです。しかし、両者の国家衛生基準を比べてみた結果、ボトル入り飲用水の基準が20項目しかないのに対し、水道水の国家基準は106項目。さらには、水銀、銀、四塩化炭素、ホルムアルデヒドなどの有害物質の指標、およびpH値、硬度などといった一般的な指標は、ボトル入り飲用水の国家基準には含まれていません。
さらに、ある専門家の発見によると、微生物の基準値においても、ボトル入り飲用水の方が水道水よりも低いそうです。例えば、ボトル入り飲用水の国家基準では、大腸菌群の数値は100mlあたり3MPN以下(MPN/100ml≤3)ですが、水道水の国家基準では大腸菌は検出されてはなりません。
北京の環境保護学者 張峻峰さん
「ボトル入り水の基準は確かに古く、適切な基準も出されないままです。水道水の指標は去年の後半に欧米基準を参考にした、厳しい指標が発表されました」
では、水道水のほうがボトル入り飲料水よりきれいなのでしょうか。中国の水道水安全検査専門家が、実情を明かしてくれました。
広西省欽州市水道水公司安全部 戚欽宏副主任
「欧米の直接飲める、水の場合 基準は100項目以上あります。中国はそこまでできません。その条件がないのです。例えばわが地区は40数項目ですが、それも全部達成できるとは限りません。北京や深圳などなら、基準がもう少し多いかもしれません」
一部の外在要素によって、水道水の品質と安全に問題が生じる場合もあるそうです。例えば、地下給水管の錆発生や水源の汚染など。
一部地域では水源がひどく汚染されているため、化学薬品で濾過する必要があり、水道水工場は化学工場と変わらないほどだそうです。化学薬品を大量に含んだ水道水が人体に与える影響は言うまでもありません。
広西省欽州市水道水公司安全部 戚欽宏副主任
「中国では毎日8500人が新たにがんにかかり、6分に1人が肺がんもしくは肝臓がんにかかります。うち肝臓がんは飲用水と関係あります」
戚さんは、これらの現象の根源は中国の発展モデルにあると考えます。
広西省欽州市水道水公司安全部 戚欽宏副主任
「中国は発展と同レベルで汚染が進んでいます。先に発展・汚染してから、後から改善しようとしますが、コストが大きすぎます。これは中国政府の一方的なGDP追求が原因で問題の根源です」
飲用水市場の競争が日増しに激しくなるにつれ、ミネラルウォーター、天然水、精製水など様々に名付けられた飲用水が次々と誕生。各企業が準じている基準も、国家基準、地域基準、企業基準などと様々で、消費者の頭を混乱に陥れています。
北京の水専門家 張峻峰さん
「1つは本物の天然ミネラルウォーターまたは天然の地表水です。もう一種は人工加工した水で、「純浄水」または「蒸留水」といいます。もう一種は「ミネラル入りウォーター」と呼ばれる水で、ミネラルウォーターでもなければ、純浄水でもなく、実際には水道水を濾過した後
ミネラルを加えた水です」
しかし、どの種類の水であっても、その品質に市民はますます不安を感じています。
ある市場調査のデータによると、ボトル入り飲用水の発がん性物質・臭素酸塩の含有量の合格率は、ミネラルウォーターが50%で、ミネラル入り水が66.7%、天然水が71.4%だったそうです。
“農夫山泉”のほか、“ネッスルミネラルウォーター”、“ワハハ純浄水”、“エビアンミネラルウォーター”などの有名ブランドからも、品質スキャンダルが報じられたことがあります。
では、中国の飲用水市場の混乱を招いた原因は一体どこにあるのでしょうか。
広西省欽州市水道水公司安全部 戚欽宏副主任
「主な原因はメーカーの競争が激しいことです。もう1つの原因は衛生監督部門の検査が甘く、中国の多くの食品の安全問題の責任の多くは、これら監督部門の検査が甘いところにあります」
最後に専門家は、中国大陸の民衆には、水道水はなるべく濾過して使用し、飲用水は一度沸かした水または水源が汚染されていないミネラルウォーターにするよう薦めています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2013/05/03/a891194.html (中国語)
(翻訳/坂本 ナレーター/大口 映像編集/蒋)