HOME > ニュースページ > 経済 > 詳細

【禁聞】中央銀行は「資金不足」を救えるか

2013年07月01日

【新唐人2013年7月1日付ニュース】中国の金融業界が深刻な資金不足に陥っています。中国の中央銀行である中国人民銀行は金融機関の救済はしないと強硬な姿勢を見せていましたが、株式市場の暴落を受け、態度を一変し、25日には一部金融機関に対し既に資金援助を行っていると発表しました。では、人民銀行が態度を変えたのはなぜでしょうか。専門家の分析を聞いてみましょう。

 

中国人民銀行は公式サイトで、金融市場の金利を安定させるため、すでに一部金融機関に流動性資金の提供を始めたと発表。

 

中国の金融業界で資金不足感が強まると、銀行間の翌日物レートは上昇を続け、一時13.44%にまで達しました。6月23日と24日、中国の各地では工商銀行のATMから現金の引き出しができない現象が起きました。

 

では、”資金供給”は絶対しないと強硬姿勢を取っていた人民銀行が、態度を一変したのはなぜでしょうか。

 

アメリカ・サウスカロライナ大学の謝田教授は、李克強首相など経済担当の官僚が、これまでのインフラ建設を大々的に行う政策からの脱却を図っているため、資金不足が現れても資金供給を渋っていたと分析します。

 

米サウスカロライナ大学 謝田教授

「しかし、今になってみると、資金不足は中国経済、中国社会、投資者の自信および国際社会の中国に対する不信感に対して、大きな影響を及ぼしています。このため、今になってまた一部資金を供給せざるを得なくなっています」

 

また、当局がもし引き続き貨幣を増刷し大規模な資金供給を行う場合、必然的にインフレと不動産バブルに拍車をかけ、中国の経済問題はますます大きくなるとも指摘します。しかし、人民銀行が資金供給をしない場合でも経済恐慌を引き起こす可能性があるといいます。

 

謝田教授は、中国経済はすでに進退両難のジレンマに陥っていると指摘します。しかし、根本的な原因はやはり、中国共産党の既得利益集団と庶民との間の利益分配の問題にあると考えます。

 

在米経済アナリスト 簡天倫さん

「最近中央政府が汚職腐敗撲滅運動をやっているため、多くの高官はお金を海外に移しています。だから一部銀行は帳面上はお金がたくさんありますが、実際はそんなにないのかもしれません」

 

中国の銀行はずっと中国共産党当局の“財布”の役割を果たしています。長期にわたって金融領域を掌握している江沢民派の利益集団は、あらゆる手段を講じて銀行の資産で私服を肥やしてきました。その埋め合わせの負担を銀行側は紙幣増刷を通じて庶民に押し付けているのです。

 

昨年秋の共産党第18回大会以降、習近平、李克強、王岐山などからなる新指導部はとりわけ金融業界に対して大々的な腐敗一掃運動を展開しています。一方、共産党汚職官僚たちは大量の資金を海外に移すと同時に、腐敗一掃運動に抵抗しています。

 

中国人民大学行政管理学部の主任・毛寿龍(もう)教授は、中国の金融バブルと地方債務によって大量の資金が占められ、短期預金が投資にまわされるなどの問題によって資金不足が生じていると考えます。その一方で、利益集団はこれらを口実に、人民銀行に資金供給を迫っていると述べます。

 

中国人民大学行政管理学部 毛寿龍主任

「これらの問題が彼らのカードになり、中央政府はこのことに賭けています。つまり、貨幣残高を消化し、増量をも消化するということです。残高を刺激する事によって増量の構造を変え、銀行が自力でこの問題を解決してほしかったのです」

 

今回の資金不足を受け、6月24日、上海と深圳の株式市場が大きく下落。25日も一時下落したものの、人民銀行が支援に乗り出す声明を発表した後は、上昇の動きを見せました。

 

北京“天則経済研究所”の馮興元(ひょう)副所長は、人民銀行の支援によってしばらくは資金不足問題が緩和できても、実際はすでに小規模の金融危機が発生していると指摘します。

 

北京天則経済研究所 馮興元副所長

「このような状況下で、また大規模な都市化を行い、大規模な財政支出に頼る事はできません。2008年とは状況が全く異なります」

 

2008年の全世界を巻き込んだリーマンショックのとき、中国は40億元の経済刺激策を打ち出したものの、重複投資や不動産バブル、物価の急上昇などの悪影響を招きました。これらの悪影響は未だに続き、加速化しています。

 

新唐人テレビがお伝えしました。

http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2013/06/27/atext921281.html (中国語)

(翻訳/坂本 編集/赤平 ナレーター/村上 映像編集/)

トップページへ