【新唐人2013年10月9日付ニュース】中国では実体経済が低迷を続ける中、一線都市の不動産価格と土地価格は驚くほど高騰しています。そのうえ、地方政府も以前のような制限措置を打ち出していません。これとは逆に、多くの三、四線都市の至る所に“ゴーストタウン”が存在するにもかかわらず、地方政府は都市化建設を加速し続けています。経済成長の目標達成と、地方政府の莫大な債務返済問題を抱える中国当局は、不動産に頼って経済成長の回復を図る袋小道に戻るしかないと見られます。
最近、北京農業展覧館近くの楼面単価に1平方メートル当たり7万3千元という超高額が付きました。上海でも新たな地王が現れ、香港サンフンカイプロパティーズが217億7千万元で”徐家匯(じょかかい)センター“プロジェクトの開発権を落札しました。広東省広州市、浙江省杭州市、湖北省武漢市などでも新たな地王が次々と現れています。
米サウスカロライナ大学 謝田教授
「北京や上海の地王は誰が買っているのでしょうか?いずれも国有の不動産企業が購入しているのです。言い換えれば、中共政府自身が買い、不動産価格や土地価格を引き上げてから、民衆に販売するのです」
不動産価格が下落すれば中国経済は必然的に鈍化します。その後に来るものは失業率の増加と社会の混乱であるため、中国政府は本心から不動産価格の下落を望むことは考えられないと、謝田教授は指摘しています。また、近年の土地販売やインフラ建設が地方政府に昇進と利益をもたらしているため、地方政府も不動産価格の下落は望まないのです。
9月17日、イギリスのフィナンシャル・タイムズ中国語版ウェブサイトに掲載された記事は、新指導層は政策上、故意に不動産市場の調整を無視する一方、都市化計画を推進し、加えて“市場救済”と“収入倍増”の目標を約束していると指摘。また、人々のインフレに対する懸念が非常に強く、1平方メートル当たり2万から3万元にまで値上がりしている家を今買わないと、将来永遠に買えなくなる可能性を心配しています。このため公開されたばかりの北京郊外のマンションでは、パニック・バイイングが現れています。
北京、上海、広州などの都市の購入ブームは却って地方政府に土地を高値にする機会を与えています。今年上半期、一線都市の土地売買による収入は史上最高値を記録しました。9月以降に地王となった地区のほとんどが都市の最良エリアで、政府がこれらの土地をこのタイミングでオークションにかけたことは、不動産市場に更なるパニックを起こすことになり、人々を住宅購入へと誘導していると考えられます。
四川社会科学院新聞伝播研究所・張立偉(ちょうりつい)所長は“不動産バブルは中国の神話を壊す”の文中において、中国政府は成長率維持のために不動産業界を放任しすぎていると指摘しています。今年上半期の中国のGDP成長率は反落し、新指導部は成長維持のプレッシャーを抱えていると分析しています。
文章の中で張所長は、これは壊滅的な策略であると指摘しています。人口の多い一線都市には硬直的需要はあるものの、地価の上昇は最終的には、低購買力層が上昇し続ける住宅価格を負担することを不可能にし、市場の需給間にあるチェーンも切れてしまい、この派手なゲームもいずれは幕を閉じることになると分析しています。
米サウスカロライナ大学 謝田教授
「共産党統治集団が今までやって来られたのは、金銭があったからです。何処に反映されているのでしょうか?不動産財政に反映されています。特に経済鈍化の時期に不動産バブルの崩壊を流れに任せると、つまり 銀行の担保に入っている土地がなくなれば、その債務は返すことが出来なくなります。債務不履行となれば、地方政府だけでなく、銀行も影響を受け、国有銀行も破産するのです」
「中国経済週刊」が2011年に発表したデータによると、北京の土地をすべて売却すると、米国のGDP1年分を超えるとのことです。今の北京では爪ほどの大きさの土地でも4元以上で売れるそうです。
北京天則経済研究所 馮興元副所長
「今の住宅供給は比較的単一で、自分で土地を購入したり、個人あるいは共同で家を建てたり、あるいは信用組合を設立する等許されていません。単純に開発企業から購入するだけです。土地の一級市場は政府バイヤーに牛耳られ、農民から安く買ったあと、高値を付けて、市場に売り出すのです」
「新華社」は8月末、莫大な債務を抱える多くの地方政府が、基準地価を引き上げるための根回しをしており、これによって将来土地の底値が引き上げられ、さらに地価上昇に動力をあたえる可能性があると報道。
北京天則経済研究所・馮興元(ひょう)副所長は、現在中国には空き家が多いものの、短期間のうちに不動産税を徴収する政策を打ち出すことは非常に困難であると指摘しています。なぜなら特権階級も多くの不動産を所有しているからです。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2013/09/30/atext975449.html(中国語)
(翻訳/赤平 編集/坂本 ナレーター/萩野 映像編集/工)