【新唐人2010年11月16日付ニュース】中国には、“南水北調”と呼ばれる、南から北へ水を引いて、北の水不足を緩和するプロジェクトがあります。最近、新彊ウィグル自治区のウルムチ市で開かれたフォーラムで、新たな提案がされました。海水を新彊にまで引いて、ゴビ砂漠を6年で良質な農地にする計画です。しかし、これは大きな物議をかもしています。
5日のフォーラムでは、専門家が“海水を内陸部に引く”計画を話し合いました。
これは、天津市付近の渤海の河口から水を取り、海水を1,200メートルにまで引き上げてから、プラスチックとガラス繊維で出来た管を通じて、新彊の砂漠にまで送ります。
一部の海水を淡水化処理したら、残りは新彊の乾いた塩湖や砂漠に送ります。海水の蒸発による雨を期待しているのです。
フォーラムの代表たちは、水で潤ったあとの“素晴らしい青写真”や千年前の古都、楼蘭の再現を思い描いています。しかし、三峡ダムの工事と同様、この計画には、生態環境を破壊する大きな危険が潜んでいます。
アメリカの新聞“ウォール・ストリート・ジャーナル”によると、一部の水利専門家と環境保護活動家は、この計画と三峡ダムを比較しているそうです。三峡ダムの建設コストは膨大だったうえ、140万人が立ち退きを迫られ、土砂崩れや地震、長江の生態環境破壊の危険が増しています。
海水を西部に引く計画に対し、最も批判の多いのが、海水が内陸の土壌に与える影響です。例えば、人為的に気候を変えることによる自然災害の発生や土壌がアルカリ化して土地が干上がるなどです。
専門家はまた、ガラスの管は腐食には強いものの、圧力や磨耗には弱いため、1,000メートルの高度に上げれば、ガラスの管ではその圧力に耐えられない。と海水を送るパイプの問題を指摘。
“ウォール・ストリートジャーナル”はカナダ・トロントの環境保護団体、プローブ・インターナショナルの話として、海水の淡水化プロジェクトは本当に水の需要を満たし、環境問題を解決するものではないのに、巨額のコストがかかると報道しました。
プロジェクトには、内モンゴル自治区、新彊ウィグル自治区、甘粛省が含まれます。報道によると、内モンゴル自治区の“海水淡水化計画”では、毎年渤海湾から3億6,500万立方メートルの海水を引き、毎年、3億1,000立方メートルを淡水にします。このプロジェクトの前期工事はすでに始まりました。
この工事を実施する企業の見積もりでは、第一期の工事だけで628億元、約7800億円がかかるそうです。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://ntdtv.com/xtr/b5/2010/11/12/a454967.html#video