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歯止めがかからぬインフレ――国は富み民は貧しく

2010年12月15日

【新唐人2010年12月16日付ニュース】12月11日、中国・国家統計局は、11月の消費者物価指数が10月の4.4%から5.1%に上がり、28ヶ月ぶりの記録に達したと発表。国内外の注目を集めました。これに対し、専門家は、これからも高いインフレが続くだろうと予測しました。

国家統計局の11日の発表によると、11月の消費者物価指数は去年の同月よりも5.1%上昇。これは6.3%だった2008年7月以来の伸びでした。11月、食料価格も14.7%上昇。卵類は17.6%、果物は28.1%、主要18種の野菜価格は62.4%も上がりました。
 
国家統計局の報道官も、11月の物価の上昇幅は予想外だったと認めました。先月、国務院は物価抑制のための16の措置を打ち出していました。
 
中国の有名な経済学者、茅博士は、
希望の声ラジオ局中国の経済学者 茅於軾博士:「消費者物価指数は正常なら1~2%、3~4%でもいいでしょう。しかし4~5%になると深刻です。6~7%ならなおさらです」
 
食品など生活必需品の異常な値上がりに、庶民は苦しんでいます。結果、買いだめをする人、財布の紐を締める人、野菜の奴隷などの流行語が誕生。
買いだめをする人“海囤族”
財布の紐を締める人“摳摳族”
野菜の奴隷“菜奴”
 
子供の病気治療のため、北京に3年住んでいる余さんは、
子供の病気治療で北京に来た余さん:「生活必需品はみな値上がりしています。地元の人も大変なのに、我々のように子供の治療で来た者は・・・」
 
わずかな給料アップと手当てでは、物価の値上がりに追いつきません。香港よりも高値の大陸の日用品さえあります。最近、広東省深センから香港に出かけて食品を買う主婦が増えています。
 
中国経済に詳しい程暁農博士は、ラジオ・フリー・アジアに対し
経済専門家 程暁農・博士:「インフレ圧力を一番感じているのは低収入 中収入の階層です。年金暮らしの退職者など、元々暮らしの厳しい人が多いのに物価が上がれば、20% 30%
どうしようもありません」
 
上海の芸術関係者の小田さんは、中央社の取材に対し、以前不動産価格の急騰で家が買えないと悩んでいたのに、最近は日常生活品の値上がりで、うつ病になりそうだと訴えました。これついて程博士は
 
経済専門家 程暁農博士:「ニュースで見ました。元々毎日3回食べられた老夫婦が今は無理です。中国にいる友人は野菜市場に行っても、白菜1つ買うのに迷うといい。他のものはなおさらです」
インフレにより、庶民の貯蓄は目減りします。ただし政府の収入は増えるので、“国は富み民は貧しくなる”という状況が生まれます。
 
今年の10月までで、全国の財政収入は7兆899億元で、去年の同時期よりも1兆2,500億元増え、伸び率が21.5%になりました。10月の時点で、まだ2兆3千億元の予算が使われておらず、当初予算を超えた収入も1兆元あるので、今年最後の2ヶ月間で3兆元余りを使うことになります。
 
 “人民日報”の編集者、呉学燦(ご がくさん)氏は
人民日報”の編集者 呉学燦氏:「政府の税収が大幅に増え、外貨準備高も増加。一方、庶民の収入は相対的に減り、物価も上がり。つまり、政府と官僚は豊かになり、庶民は貧しくなっています」
 
北京大学(中国経済研究センター)の霍徳命教授は、来年の前半、中国のインフレはいっそう悪化すると予測。
 
国家発展改革委員会・経済研究所の、張岸元氏は、しばらく過度に通貨を発行したため、社会全体のコストが全面的に上がり、今の物価急騰が起きたと述べました。
 
今年9月末までで、中国は通貨の過度な発行が43兆元。12月3日、当局は通貨政策を“過度な緩和”から“中立(穏健)”に戻すと表明。これはインフレ抑制へ切り替わったことを意味します。
 
10日、中央銀行は、銀行融資の制限を狙い、今年6回目の預金準備率の引き上げを実施。2008年の世界金融危機以来の物価上昇を受け、中国はさらに利上げをするだろうといわれます。
ただ、香港の“明報”は、金融の引き締めと利上げでインフレを抑制できるものの、経済活動に影響し、最悪の場合、インフレが収まらないのに、経済が停滞する恐れがあると指摘。いわゆるインフレと低成長が続くスタグフレーションです。
 
新唐人テレビがお伝えしました。

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