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中国人の本音が分かる――2010年ネット流行語ベスト10

2010年12月30日
中国人の本音が分かる――2010年ネット流行語ベスト10

【新唐人日本2010年12月31日付ニュース】中国で有名なサイト、“天涯コミュニティー”が募集した“2010年ネット流行語ベスト10”の結果が12月21日に発表された。“俺の親父は李剛だ( 我爸是李剛)”が11593票で、今年ネットで最も話題を集めた流行語に選ばれた。しかも、今年のネット事件ベスト10でも、“俺の親父は李剛だ”と叫んだ李啓銘被告の事件がトップであった。“南方日報”の主席評論家の周虎城氏は、“俺の親父は李剛だ”が流行語の一位に選ばれたことから、官僚の腐敗に対する市民の恨みがどれほど強いのかが見て取れる、何よりも社会資源の分配の不平等が階層の文化を招いていることが分かると述べた。 

“天涯コミュニティー”が募った2010年ネット流行語ベスト10には、1ヶ月で数十万人ものネットユーザーが投票に参加。“神馬都是浮雲(何もかもがはかない)”が2位“給力(力づける)”が第3位に選ばれた。さらに “你懂的(君は分かっているだろう)”、“做了一個艱難的決定(きわめて困難な決断をした)”、“鴨梨很大(プレッシャーが大きい)→プレッシャーと鴨梨の中国語が似ていることから”、”強制撤去がなければ新中国はない” “蒜你狠、豆你玩(むごいニンニク、人をもてあそぶ豆、ニンニクと豆の価格急騰を皮肉った言葉)”“俺は指導者のために働いているんだ”“我勒個去(俺は死ぬ→どうしようもないという意味)”があった。
 
“俺の親父は李剛だ”
10月16日、21時40分ごろ、河北大学新区のスーパーの前で、“冀fwe420”のプレートをつけた黒塗りの車が女子大生2人をひいてから数メートルそのまま走った。ひかれた女子大生の1人、陳さんは17日、死亡。もう1人重傷を負った女子大生は救命治療を受け、命の危険を脱し、今は転院して治療を受けている。加害者は事故当時、“度胸があるなら、訴えてみろ。俺の親父は李剛だ”と言い放った。(加害者の父、李剛氏は権力のある警察の高官。その権威を笠に着れば、息子が法律を犯しても罰せられることはないという意味でとらえられ、中国人の怒りを買った)
 
この事件は、中国中の注目を集めた。ネットでは“俺の親父は李剛だ”のフレーズをもじり、動画のテーマ曲にするコンテストすら行われた。この種の悪ふざけのほか、怒りの抗議、歌で悲憤を表現するケースもあった。サイト“貓撲網”が実施した“俺の親父は李剛だ”の造語コンテストには1週間で36万もの募集があった。このあふれんばかりの怒りの背後には、官民の対峙と抵抗心が見え隠れする。これらは深く考えてみる価値があるだろう。もしネットが民意の集まる広場ならば、この“李剛事件”は、2009年5月に起こった“鄧玉嬌事件(女性が正当防衛の過程で男性数名に果物ナイフで抵抗し、死傷させた事件)”以来、最も多く人々を引き寄せた事件といえる。
 
“南方週末”高級編集の鄢烈山氏は、“俺の親父は李剛だ”は、2010年のネット流行語に恥じないと評価。この驚愕の言葉は中国の茶の間の話題を独占しただけでなく、海外でも話題をさらった。ニューヨークタイムズ紙は、トップ記事で“China's Bitter Joke:My Father is Ligang”(中国のジョーク:我爸是李剛)と伝えた。
 
一世を風靡した“神馬都是浮雲(何もかもはかない)
今年10月1日、つまり国慶節の時期、ある書き込みが“天涯フォーラム”で一気に話題を集めた。書き込みをしたヒロイン“小月月”の発した言葉は、多くのネットユーザーに衝撃を与えた。その中でも特に強烈だったのが“神馬都是浮雲(なにもかもがはかない)”。“什么(何)”と同音の“神馬”、さらに“はかない”を意味する“浮雲”、この2つが組み合わさった途端、これは万能の優れた文句となり、一世を風靡することになったのだ。
 
流行語となった“神馬都是浮雲”。ここからネットユーザーの無意識の群集心理がうかがえる。、多くのネットユーザーはネットの流行に乗り遅れないようにと、次々に似たような言葉を作り出す。また、生活や仕事のプレッシャーが大きい社会人にとって、ネット用語の使いこなし、進んでネットの事件から楽しみを見つけることは、一種の優れたストレス解消にもなっている。
 
給力(げーりー)
“給力”はすごい、かっこいいの意味。この言葉は、日本のアニメ“西遊記”の中国語ナレーションの中で孫悟空が漏らした不満から人気に火がついた。“これは天竺ではないですか、たいしたことないですね、先生”。いわゆる“不給力”は、予想した目標にはるか及ばないことを形容している。
 
近年、“gelivable”という“給力”にちなんだから英語の単語も人気だ。“tresguelile”というフランス語にまで訳され、国際メディアの注目を引いた。ニューヨークタイムズは、中国のネット流行語“給力”は、すでに中国のネットで“本当にすごい”を形容する最もふさわしい語になったと報道。
 
“中国経営報”の有名な編集者、馬連鵬氏は、“俺の親父は李剛だ”が“給力(本当にすごい)”のは、“你懂的(君には分かっているだろうが)”のように、一般市民が隠れ接頭語のように使って広がるのではなく、赤裸々に残酷な階層分化の現実を言い当てたからだと苦笑する。自分の父も“李剛”のような特権階級だったらと嫉妬とねたみを抱くのか、あるいは現実的に“指導者のために働く”のか。または“神馬都是浮雲(何もかもはかない)”と達観するのか、個人や社会にとってどれも“做了一個艱難的決定(困難な決断)”といえよう。
 
 
ネットが映し出す社会の不公平に対する怒りと叫び
これらの流行語はどれも、中国社会が着目する問題を反映している。例えば、“俺は指導者のために働いているんだ”は、四川省成都の交通警察が市民に尋問している際に漏らした言葉、これは社会の特権問題を浮き彫りにした。“蒜你狠、豆你玩(むごいニンニク、人をもてあそぶ豆)”は、中国で日に日に悪化するインフレと政府の価格操作の措置を反映した言葉だ。“你懂的(君は分かっているだろうが)”は、ネットユーザーがある敏感な事件を表現する際に用いる。ある事実を語った後“你懂的”と述べてから、人々に再考を促す。
 
似たような言葉は、ネットでめずらしくない。ネットユーザーが力の限り創造力を発揮し、現代中国を浮き彫りにする自発的な動きとなった。
 
6年連続ブログで“年度雷人(常識外れの言行の持ち主)語録”を整理して発表している者もいる。その年、驚愕を与え、深く考えさせた社会の言論をもっぱら集めたものだ。しかもほとんどは官僚や政府系の学者の口から出たものである。最新のブログでは、“2010年雷人語録”が発表され、55の言葉が取り上げられている。中国人民大学、国際関係学院の金燦栄・副院長の放った“中国の腐敗は中程度だ、我々が誇大化しているに過ぎない”というコメント、さらに南京大爆発事件で官僚が記者に言い放った“君らの生放送は誰が許可をした”などが見られる。
 
有名なブログの作者、郭衛東氏は“ラジオ・フリー・アジア”に対し、“口に出してしまった人もいれば、口に出さなくてもずっとやっている人もいる。これが中国の現状だ。今、法律はすでに効力を失っている。社会に存在する公平と正義、どれだけの人がまだ信じるのか。もう信じる人などいない。これがネットであらわになった真実の中国である。中国の庶民の生活の実態であり、社会の不公平に対する怒りと叫び、一種の抗議である”
 
有名なインターネット評論家の洪波氏は、この種の流行語の特徴はあっという間に出てきて、すぐに去っていき、淘汰される率がとても高いと指摘。例えば去年は“帰宅して食事するよう、君のお袋が呼んでいるよ”がネットを席巻したものの、今年はまた、“你懂得(君は分かっているだろうが)”“鸭梨大(プレッシャーが大きい)”など、新たに創造された言葉が誕生。一種のネット文化の現象が体現され、ネットユーザーの間で通じる暗号となった。
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