【新唐人2014年6月1日】中国は子供の自殺率が世界で最も高く、自殺の動機の5割は勉強のプレッシャーだと言われます。特に近年、子供の自殺が深刻な社会現象となり、毎年3月から6月までは「児童・生徒の自殺シーズン」とさえ呼ばれます。1年に1度の受験シーズンを控え、各地から子供が自殺する悲報が伝わってきています。
大陸メディアの報道によると、最近、浙江省温州市で高校3年生の男子生徒が川に飛び込んで自殺する事件が起きました。学校の監視カメラの映像によると、5月23日深夜2時、生徒は宿舎を離れて失踪し、その30時間後、学校のそばの川で生徒の遺体が発見されました。解剖の結果、溺水による死亡だと分かりました。
生徒が失踪した後、教室の生徒の机から1枚のメモが見つかりました。そこには「僕は自分の肉体を捨てた。自分の魂も捨てた…」という文章と奇妙な数字の組み合わせが書かれていました(9 1 13 9 14 23 1 20 5 18)。
この生徒は同級生に「数字をアルファベットに当てはめるのは、暗号解読の基本だ」と話していました。先ほどの数字をアルファベットに当てはめると「I am in water」なので、「僕は水の中にいる」の意味になります。多くの事柄が、生徒の自殺を示唆しています。
この生徒はなぜ自殺したのでしょうか。彼の教師、同級生、近所の住民などに聞いても、きちんと説明できる人はいませんでした。ただ、大学入試の前に自殺したため、過酷な受験制度と関連があるとの見方が一般的です。
「21世紀教育研究院」が5月13日に発表した2014年の教育白書では、去年起きた児童・生徒の自殺案件、79例が取り上げられています。研究の結果、彼らの自殺の根本的な原因は、受験偏重の教育制度にあることが分かりました。
大陸文化評論家 葉匡政さん
「今の中国の学校教材は70~80年代に定まりました。当時の方針は科学立国だったので、小中学校の数学、理科、科学は非常に難解です。例えば、中国の中学生の数学のレベルは米国の高校生に匹敵します。中国では物理、化学の内容も大量かつ複雑です。ただ それらの知識は将来 科学技術の仕事に就かなければ、使わないものです。中国の子供は大変です」
では、過酷な受験を勝ち抜いた子供は、光り輝く未来を手にしたのでしょうか?中国科学院が過去30年間、大学受験の成績上位者1000人以上を追跡調査したところ、彼らの中に国を代表するエリートや業界のリーダー的存在になった人は、1人もいませんでした。しかも、彼らの7割は卒業後、表に出て活動していません。
成績上位者でもその有り様なので、普通の大学生の境遇は、もっと悲惨です。当局のデータによると、2013年、中国の大学・専門学校卒は699万人で、「史上空前の就職難の年」と呼ばれました。しかし2014年の卒業生は推計で727万に達するので、就職はいっそう厳しくなるはずです。
しかしこの就職難は、「人材が過剰」なためではありません。就職あっせん機関の調査によると、7割以上の企業が「実際に役立つ人材がいない」と嘆いています。つまり、現実にそぐわない大学教育のせいで、「実用的ではない秀才」が次々と生まれているため、「人材不足」と「就職難」が同時に存在しているのです。
大陸文化評論家 葉匡政さん
「大陸の教育方式は欧米と大きく異なります。知識を道具と考えて、詰め込み教育をするので、理解する力創造する力が伸びません。中国の教育において、一番の問題は人を道具にすることです。人格や人文の教育が軽視されています。知識の記憶力ばかり強調し、思考能力を養っていません。逆に権力への服従や需要を強化しています」
勉強のプレッシャーで自殺する子供が年々増えているだけでなく、「高学歴の人材」が卒業後就職先を見つけられず、苦悩した揚げ句自殺する事件もしばしば起きています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2014/05/31/a1113036.html(中国語)
(翻訳/河合 ナレーター/萩野 映像編集/工)