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【禁聞】東シナ海防空識別圏設定 中共の狙いは?

2013年11月26日

【新唐人2013年11月26日付ニュース】23日、中国国防省は東シナ海に「防空識別圏」を設定したと発表し、「空域内を飛行する航空機は中国側に飛行計画を通報するとともに、中国側の指令に従わなければならない。従わなければ武力で緊急措置を講じる」と宣言しました。中国国内の民衆の不満が日に日にエスカレートしている中、当局がこのような軍事行動を打ち出すのは、中国民衆の愛国情緒を煽り立て、国内の矛盾を転嫁させるためだと専門家は指摘します。

 

23日、中国国防省は東シナ海に防空識別圏を設定し、当日午前10時より施行されたと発表。

 

中国当局が設定した東シナ海防空識別圏の範囲には、朝鮮半島の南側から台湾の北側までが含まれており、日本と領有権を争っている尖閣諸島や共同開発で合意した東シナ海ガス田の上空なども含まれています。

 

雑誌『中国事務』 伍凡編集長

「尖閣諸島の上空も含まれ、日本が設定した防空圏の一部と重なっているため、衝突が起きる可能性もあります。これで東シナ海上空の緊迫化を造り出すことができ、中国人は中共に対し、幻想を抱くようになるのです」

 

NHKの報道によると、岸田外務大臣は中国国防省が尖閣諸島の上空に防空識別圏を設定したことについて「中国側が設定した空域はわが国の固有の領土である沖縄県の尖閣諸島を含んでいる。現場で不測の事態が起きる危険も想定される一方的な措置であり、わが国としては認めることはできない」と述べました。

 

香港城市大学政治学教授 鄭宇碩さん

「中共の行動は主権のアピールなのです。2010年から中国周辺の領海、領土をめぐる紛糾も度々伝わっています。中国の目下の立場は、各種措置で主権要求を強化することです。日本に圧力をかけると同時に、中国国内の民族主義の需要に応じているのです」

 

雑誌『中国事務』 伍凡編集長

「中共は党内の闘争、経済の減退、庶民の反抗のエスカレートに直面し、愛国主義思想を高めて、『共産党は売国奴ではない』。ここに焦点を移し、社会からの圧力、党内からの圧力に対処するためです。だから空域を設定したのです」

 

尖閣諸島は中国語では「釣魚台列島」(ちょうぎょたいれっとう)と呼ばれ、略称として「釣魚島」(ちょうぎょとう)と呼ばれています。中国と台湾は、明(みん)の時代から「釣魚島」は中国領土であり、1895年日清戦争の時に日本に占領されたと主張しています。一方、日本側は1895年に政府が「尖閣諸島はいずれの国にも属していないことを確認したうえ、沖縄県に編入した」としています。

 

第二次世界大戦後、中国では国民党と共産党の間で内戦が勃発しました。当時のアメリカは戦勝国の名義で琉球群島を施政下に置き、尖閣諸島もその範囲内に入れました。

 

1949年、中国共産党が政権を樹立。1971年、アメリカは尖閣諸島を含む琉球群島の施政権を日本に返還しました。この20数年間、中国共産党がアメリカに対し尖閣諸島の領有権を主張したことはありませんでした。そのうえ、党機関紙「人民日報」は1953年1月と1958年3月に掲載した文章の中で、「尖閣諸島は日本に属する」と述べています。

 

しかし近年、中国共産党当局は尖閣諸島の領有権問題において強硬な態度を見せています。「東シナ海防空識別圏」の設定を発表した23日、中国は偵察機2機を出動させ空域を飛行。日本は戦闘機を緊急発進させました。

 

岸田外務大臣は25日、参議院の特別委員会で「日本はアメリカとは緊密に連携・協議しているが、関係国とも協力して、中国の自制を強く求めていきたい」と述べました。アメリカのホワイトハウス、国務省、国防省も声明を発表し、中国に警告を発しています。

 

アメリカの中国語雑誌『中国事務』の編集長を務める伍凡(ごぼん)さんは、中国が東シナ海防空識別圏を設定したのは、アメリカと日本の反応を見るためだと考えます。

 

雑誌『中国事務』 伍凡編集長

「防空識別圏の設定は米国と日本に圧力を与え、両国が本当に手を組むのかどうかを見るためです。この地域で衝突が発生した場合、米国が本当に介入するのかどうか。来月2日にバイデン副大統領が北京を訪問しますが、この問題は重要な議題になるでしょう。米国の態度から、本当かどうかを判断するのです」

 

伍凡さんは、東シナ海防空識別圏を設定したことによって、政治・経済における日中関係はさらに冷え込む可能性があるものの、軍事関係は熱くなると考えます。また、日中間で小さな摩擦が起きる可能性もあり、これによって中国当局は民衆の視線をそらす目的を達成することができると示します。

 

一方、香港城市(じょうし)大學政治学教授の鄭宇碩(てい うせき)さんは、日中間で戦争が起きる可能性は低いと見ています。

 

香港城市大学政治学教授 鄭宇碩さん

「両岸(中台)間でも、日中間でもみな平和維持の重要性を知っているので、武力に出ることはないでしょう。だから戦争や衝突が起きる危険性は低いと思います」

 

また、日中間の領有権問題を短期間で解決するのは難しいとの見方を示しました。

 

新唐人テレビがお伝えしました。

http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2013/11/26/atext1011937.html (中国語)

(翻訳/坂本 ナレーター/村上 映像編集/工)

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