【新唐人2013年11月29日付ニュース】今年7月12日、「集金詐欺罪」に問われていた湖南省の民営企業家曾成傑さんの死刑が、長沙市でひそかに執行され、中国社会に激震が走りました。中国最高人民裁判所は11月25日、公式サイトにおいて曾成傑事件は社会に甚大な被害をもたらしたため、死刑に値すると強調し、再度注目を集めています。
曾成傑さんは、湖南省の「三館不動産開発集団有限公司」の元総裁で、2005年には第2回「中国企業改革十大傑出人物」に選ばれました。
しかし2008年、湖南省当局は集金詐欺罪などの容疑で曾さんを逮捕。2010年の1審判決と2011年の2審判決で、「投資家をだました罪」と「集金詐欺罪」が確定しました。
2013年7月12日、代理人に死刑認定書が届いておらず、家族にも知らされていない状況下で、曾成傑さんは長沙市で死刑に処されました。
民営企業家に極刑を科した当局のやり方に対し、中国では不満が噴出しています。法曹界やメデイアを含む各界の人々が曾成傑さんのために声を上げました。
中国最高人民裁判所は25日、公式サイトにおいて、「曾成傑事件に関する質疑応答」を発表し、この事件は金融管理秩序を著しく破壊し、国家と人民の利益に甚大な損失を与えたと批判しています。
イギリスBBCは、事件に対する当局の処理は多くの議論を引き起こした報道。企業家が湖南省政府の身代わりになったとの見方もあれば、企業のトラブルに介入した湖南省の官僚が司法の権力を借りて、民間から財産を奪っているとの批判の声もありました。
中国人権派弁護士 唐吉田さん
「いわゆる『反腐敗』は、公民に官僚を制約する。権利があれば、意義がありますが、彼ら内部の調整だけならば、意義はありません。本当に民衆の信用を勝ち取りたいのなら、客観的に公正にかつ透明であるべきです」
広東省の週刊紙「南方週末」は曾成傑事件を詳細に報道しました。報道によると、湖南省湘西(しょうせい)自治州は貧困地区で、2003年、地元政府は図書館や体育館などのインフラ建設を受注した際、建設資金が不足したため、プロジェクトを競争入札にかけました。結果、曾成傑さんの会社が落札し、地元政府の支持と協力の下で、民間から資金を公募。
しかし、2008年金融危機に見舞われると、地方政府は態度を一変。民間からの資金公募は一夜のうちに合法から非合法に変わり、曾成傑さんをはじめとする20人近くの民営企業家が逮捕され、一部官僚も免職。しかし、拘束から3ヶ月経っても地元裁判所は立件せず、湘西自治州政府は曾さんの会社の23億元に上る資産を3.3億元で売却しました。最終的に曾さんは死刑に処され、妻と長女も逮捕されました。
湖南省湘西企業家曾成傑氏の次女 曾珊さん
「資産評価もないまま事件が終わりました。資産評価がないままだと、父が返済できないと断定できないのです。返済能力があることが判明したら、父は無罪です。しかし、1審2審とも裁判所はこの事に触れなかったのです」
中国文化評論家 葉匡政さん
「民間企業の経営紛糾に対しては、民事訴訟または破産法で処理するべきです。会社法の訴訟プロセスに従うべきで、競売にかけるべきではなかったのです。公開処理すれば、破産したとしても死刑までには至らないでしょう」
中国の文化評論家・葉(よう)さんはミニブログ(微博)で、曾成傑事件は新版の「豪族つぶし」であると示しました。昔、豪族から奪った土地は庶民に分け与えられたが、今、豪族つぶしの収益はすべて権力者に山分けされている。これがまさに曾成傑さんが秘密裏に死刑に処された原因であり、背後にはきっと知られざる秘密が潜んでいると指摘しています。
葉さんはまた、一部の地方官僚は企業トラブルに介入することを通じて、司法権力を笠に着て民間の財産を略奪。これは地方官僚の新たな蓄財方法になっていると指摘します。
曾成傑事件の前にも、女性実業家呉英さんが同じく集金詐欺罪で死刑判決を下されましたが、社会の反響が大きすぎたため、最高裁判所は地裁への差し戻しといった異例の判決を出しました。一部民営企業家は、これらの事件は民営企業が銀行から融資を受けるルートを断たれ、民間の正常な貸し借りが抑圧されている中国の現状を浮き彫りにしていると指摘しています。
また、一部の弁護士たちはメディアに対し、中国共産党の汚職官僚は死刑に処するべきであるのに、無期懲役刑になっている。司法当局は庶民と官僚に対し、異なる二重の基準を適用していると非難しました。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2013/11/27/atext1012636.html (中国語)
(翻訳/坂本 ナレーター/村上 映像編集/工)