【新唐人2014年1月6日付ニュース】ここ数年、カドミウム米や重金属野菜などの問題が相次いで暴露されたことに伴い、中国の土壌汚染問題が徐々に注目を集めています。中国当局は土壌の汚染問題は調査済みであると言いながら、「国家機密」との理由で、調査結果の公表を拒否しています。中国の土壌汚染がすでに深刻なレベルに達しているのではないかと疑わざるを得ません。
2013年12月30日、中国国務院新聞弁公室が開いた記者会見において、国土資源部・王世元副部長が「第2次全国土地調査」の一部データを公表しました。これは1996年以来初めて公表された土地状況ですが、土壌汚染についての詳細な説明はなく、記者の質問に対し、中国の中度・重度に汚染された耕地はすでに5000万ムーに達していると答えるのみにとどまりました。
中国メディアによると、この「5000万ムー」という数字についての詳細な説明はなく、比較できるデータも提供しないまま、簡単な紹介で終わりました。中国の土壌汚染が集中している主要地域は長江デルタ、珠江デルタおよび東北地方の旧工業基地密集地域と採鉱区で、重金属汚染は土壌汚染の主要な原因であるとのみ伝えています。
アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルの計算では、5000万ムーという汚染面積は2012年の中国耕地面積のおよそ2.5%に相当します。つまり、中国の2.5%の土地は重金属やその他の汚染物質により重度の汚染を受け、耕作が不可能という事です。なお、この割合には、一般レベルの土壌汚染は含まれていません。
中国環境保護部は2013年度版『土壌汚染と人体の健康』という本の中で、中国の重金属汚染を受けた耕地面積はすでに2000万ヘクタールに達し、全国の耕地面積の6分の1を占めている。毎年1300万トンの穀物と農作物が重金属汚染を受けていると指摘しています。
多くの重金属汚染の中でも「カドミウム汚染」による危害は最も大きいと考えられています。特に「中国の穀倉地帯」と言われる湖南省ではカドミウム汚染が極めて深刻な状態です。
ニューヨークタイムズによると、2012年、湖南省で生産したカドミウム米は1700万トンで、中国全体の16%を占めています。一方、これらの汚染米はすべて中国民衆の食卓に上っています。
台湾中興大学土壌環境科学学部准教授 黄裕銘氏
「カドミウムは濃度が低くても人体に有害です。さらに深刻なのは植物に吸収されやすいことです。カドミウム米は神経痛や腎不全、骨粗しょう症などを引き起こします。中国は今この食品安全の問題に向き合わざるを得ません」
専門家は、中国の土壌汚染の主な原因は廃水の垂れ流し、工業廃棄物の堆積(たいせき)および農薬、化学肥料の過度の使用であると分析します。
台湾中興大学土壌環境科学学部准教授 黄裕銘氏
「工業排水は厳しく規制せねばなりません。水汚染は土壌汚染につながるからです。工業廃水を規制しないと、汚染は拡散し続けます。一部悪質な工場は廃棄物を不法投棄し、汚染を撒き散らしています。肥料もそうです。中国の農薬は規制が必要です。台湾では使用禁止の農薬が中国ではまだ使われています」
この他、国土資源部は報告の中で、汚染や都市化などの影響によって、中国の耕地面積は減少を続け、2006年から2009年の3年間だけでも0.2%減少したと伝えています。現在、中国の一人当たりの耕地面積は1.52ムー。これは世界平均の半分以下です。データによると、過去13年間、中国全土の都市用地は41.78万ムー増加していますが、このほとんどが良質の農地でした。
台湾中興大学土壌環境科学学部准教授 黄裕銘氏
「農地の都市化は避けるべきですが、中国の都市化は恐ろしいものです。中国の大型都市開発は恐ろしいほど巨大な面積を占め、どれ程の農地が失われるか想像できるでしょう」
国土資源部は、当局は今後、毎年数百億元を重金属に汚染された耕地の修復に投入しすると示しました。しかし民衆は、各地方政府がGDP成長率のため、企業の環境汚染を黙認し、多くの耕地を開発し暴利を貪っていることが、耕地の大量流失と汚染の原因であると見ています。しかし、当局はこれらの根本的な問題は解決せず、汚染された土地の高い修復費用を民衆に負担させようとしているのです。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2014/01/03/atext1036163.html(中国語)
(翻訳/赤平 ナレーター/大口 映像編集/工)