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官僚と金持ちに特別ルートで安全な食品を提供――食の安全問題に中国政府が本腰を入れない理由

2011年01月05日
官僚と金持ちに特別ルートで安全な食品を提供――食の安全問題に中国政府が本腰を入れない理由

【新唐人日本2011年1月6日付ニュース】最近、中国の雑誌“小康”が行った調査・研究によると、9割以上の市民が中国の食品安全には問題があると答え、7割の市民は食品への安心感がないと回答。これについて専門家は、食品安全の問題は深刻なものの、中国政府は、上は高官から下は管轄部門まで、皆これを十分に重視していないと指摘。中国の有毒食品がこれほど横行しているのは、高官や金持ちは長年特殊なルートで、食品を手に入れているため、市民の切実な思いが分からないのだとも分析した。

 
ラジオ・フリー・アジアによると、中国大陸の雑誌“小康”は、清華大学メディア調査実験室と合同で、先月、“中国人消費者の食の安全に対する自信”というテーマで調査を実施。結果、7割の人が食の安全に懸念を示し、そのうち過半数の回答者が比較的不安だと答え、2割近くの人が非常に安心感がないと答えた。
 
調査によると、リストにある野菜、果物、水産品、食用植物油、ペットボトルの水など、24種類の食品のうち、消費者が特に安心感がなかったのが、スナック菓子と油で揚げた食品だった。
 
このほか、注水肉(家畜の血を抜いた後、大量の水を入れて増量させた肉)や遺伝子組み換え食品、期限過ぎの変質食品など、13種の問題の中で、中国人消費者が一番案ずるのは、病死の家畜の肉だった。そのほか、野菜果物に残留する基準を超えた農薬、食品に使用された違法な添加剤、添加された有毒物質(メラミンなど)、食卓に上る非食用油(地溝油と呼ばれるいわゆる廃油)などもあった。
 
これについて北京市民は、有毒食品は防ぎきれないと嘆く。“どこに安全があるのか。麺には化石粉が使われているので、買ってきた麺を家で茹でると、通常はばらばらにほぐれるのに、今のは、冷めれば冷めるほど堅くなっていく。マントーは、燻して作ってあるので、白く崩れる。ニラはハエがたかりやすいので、有機リン系殺虫剤が使われている。北京人の大好物、水煮魚は皆、地溝油で作られているが、辛くてしびれるので食べても分からない。今レストランは基本的に地溝油を使っている。私たちの市場では公に地溝油が売られているのに、誰も取り締まらない”
 
これを受け、記者は中国国家質量監督検験総局の食品生産監管司総合処に、市場への監督状況について尋ねた。
 
当局の職員はこう答えた。“我々はしょっちゅう、自分たちの仕事内容を公表している。主な仕事は生産許可、それから監督とサンプル調査だ。問題が発見されれば処罰する。違法の疑いに気づけば、警察に送る。野菜と肉の管理は、我々の管轄内ではない。君のいう油とはどんな問題なのか”
 
記者“地溝油です。小さなレストランでは皆、この種の油を使っています。これらはどう、監督管理されているのですか”
 
当局職員“レストランは、食品薬品監督管理局が直接管理する。彼らに聞いてみるとよい。わが国では6~7部門が管轄しているんだ。自分の管轄内のものなら管理するが…。例えば食用油。正規メーカーの製品であれば、我々は必ず監督管理する。違法な製造所が見つかったばあいも、我々はやはり管理する。肉は最初の段階でどんな問題があったのか、それは我々の管轄範囲外だ。我々は、肉の加工場しか管理しない。しかも加熱済みの加工肉だ”
 
深センの民主活動家、朱建国はこれに対し、食品監管機構の部門自体、人員の配置が足りないと指摘。一方、他の部署では余分な人員が多い。結果、肝心の食品安全の管理がおろそかになったが、この問題がずっと軽視されてきた原因として、2つの要素があるという。
 
“食品安全は中国政府の官僚にとっては、問題ではない。彼らが食べるのは、特別なルートで供給される安全な食品だからだ。例えば、国務院の数多くの資料や文章が示すように、彼らは数十年来ずっと特別提供品を食べてきた。今、このような食品提供の特別ルートは、北京だけではなく、各地の政府にも様々な形で存在している。だから金持ちや執政者には、食品安全問題を身にしみて感じることはない。もう1つが官と業の癒着。いったん、違法業者に手をつければ、同業者にもメスを入れなければならなくなる。例えば、メラミンはみな大手メーカーで起こった。だから、官僚はこの問題に及び腰なのだ。この2つの原因により、政府はずっと、食品安全を重要な仕事としてみてこなかった”
 
英国の新聞“タイムズ”の報道によると、大陸のネットにはかつて、美しいイラスト付きの文章が出回っていたという。中国高級幹部などへ特別ルートで提供される食品の数々である。それらは無毒で汚染されていないだけではなく、通常の食品よりもずっと栄養が高い。しかし、中国当局はこの情報を否定。特別提供食品と明記していた会社のサイトも閉鎖された。
 
朱氏は、特別ルートを切断し、官僚や金持ちにも庶民と同じものを食べさせる方法しかないと強調する。そうすれば、ある程度は監督管理システムが働き、中国の食品安全問題も改善するだろうと分析した。
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