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世界で食料価格が急騰――迫り来る大飢饉

2011年01月06日
世界で食料価格が急騰――迫り来る大飢饉

【新唐人日本2011年1月7日付ニュース】年が明けても、世界各国の物価の上昇に歯止めがかからない。国連食料農業機関(FAO)は先日、最新の食品価格指数を発表。指数は、1990年にできて以来、最高に達した。世界の食料は供給不足で、大飢饉の危機が迫っていることを暗示する。各国の政治の緊張や民衆の騒乱が起こるかもしれない。中国やインドなどの発展途上国がこの問題を招いたと指摘するメディアもある。

 
5日、国連食糧農業機関(FAO)は最新の食品価格指数を発表。去年の6月から11月までで、世界の米と小麦の価格は26%上がり、3年連続の値上がりで、30年ぶりの最高値となった。これは2008年の食糧危機の水準を超える。FAOの主席経済専門家のアブドラ氏は、世界は“食料価格の衝撃”に直面したと表現した。
 
FAO主席経済専門家のアブドラ氏は、現在の情勢は、2007年から2008年までの世界食糧危機と異なると述べる。当時は、バングラディッシュからハイチまで30カ国あまりの国と地域で飢餓による騒乱が起きた。もし食料価格の高値が続けば、再度“食糧危機”が起こるかもしれないと警告する。
 
世界の物価上昇
 
報道によると、アジアではインドのたまねぎ価格が去年12月中旬から急騰し、1キロ当たりの価格がすでに通常の5倍となり、マンゴーと同じ水準になっている。インドの一部地域では小規模な騒乱が起こったそうだ。このほか。黒胡椒、ウコンの価格も史上最高値に達した。
 
南米に目を転じてみよう。ボリビア政府は2010年12月26日、燃料補助の停止を宣言。結果、ガソリン価格が83%上昇、ディーゼルオイル価格が73%上がり、食料価格も15%上がった。民間商店の食品価格の値上がりは、もっと大きかった。12月30日、ボリビアのいくつかの主要都市で、燃料価格の暴騰への抗議運動が発生。ボリビアのモラレス大統領は、12月31日、燃料補助の復活宣言を余儀なくされた。
 
アフリカでは、モザンビーク政府が去年の3月から4回連続で燃料と天然ガスの価格を引き上げている。去年8月、政府は食品、水、電気、生活必需品の価格を9月1日から上げると発表。そのうち、パンは30%も値上がりした。水と電気もそれぞれ10%以上上がり、これに怒った大勢の民衆がデモを実施。モザンビーク政府は最終的に、パンの値上げ令の撤回を決断した。
 
米国の公的食糧援助機関によると、小麦の価格は去年5月から11月までで、米国では90%近くも上昇。一方、アフガニスタンとパキスタンなど小麦の主な消費国では、値上がり幅は30%に満たなかった。
 
FAOなど国際機関が胸をなでおろしているのは、米の価格が比較的安定している点である。国際的な米の価格は、2008年1度は1トン1000ドルを超えたものの、今では1トン当たり535ドルで落ち着いている。
 
中国大陸では、FAOの食品価格指数が連続6ヶ月上昇し、去年12月には214,7点に達した。2008年6月に記録した213.5を塗り替えた。砂糖と肉の価格はすでに最高記録を突破し、広い懸念を呼んでいる。
 
報道によると、2010年の前半、国際的な農産品市場は価格が低迷していた。しかし、その年の夏、容赦ない熱波と干ばつ、および数百件の森林火災によって、ロシアの全国耕地面積の5分の1が収獲不能になった。カナダでは、6月と7月の過度な降雨により、西部の小麦栽培面積が40年ぶりの最低となった。
 
豪州では、暴雨により東部の半分で、小麦の質が下がり、飼料作物となってしまう危機が発生。“食料庫”と称されるアルゼンチンも、長期化する高温と干ばつに見舞われ、結果、とうもろこしの国際的な先物取引価格を引き上げた。
 
世界の物価上昇の現況:中国インド
 
世界の物価急上昇は、天候の変化、極端な天候によって、各国の農業生産が深刻なダメージを受けているためと一部メディアは分析。
 
しかし、英国“デイリー・テレグラフ”は先日、世界の物価の急激な上昇は、発展途上国が元凶だと指摘した。
 
記事はこう指摘する。
 
“天井知らずで上がり続ける物価について、投機的な動きを指摘する声がある。買占めできるものであれば、食品やその他の生活用品であろうと、すべて投資の道具とみなし、金を稼ぐ。または、米国の金融緩和政策を非難する者もいる。これで通貨の価値が下がり、物価が上がったというのだ。そして、温暖化が原因だとの指摘もあるが、一体何が本当なのだろうか。
 
経済発展の歩みをさらに速めるため、発展途上国は、道具、物資、原材料を大量に必要とする。このため、需要が急激に伸び、世界の物価を市場まれに見る高値に押し上げたのだ。
 
いわゆる発展途上国として、筆頭に上がるのがインドや中国である。例えば、中国は世界最大の自動車生産国であるが、自動車の生産には大量の原材料が不可欠だ。1997年、アルミの世界の需要は2250万トン、中国は10分の1未満だった。しかし去年、中国のアルミの需要は1700万トンに達したが、これは1997年の8倍に当たる。アルミ価格は中国の膨大な需要により、急騰したのである”
 
FAOが発表した食品価格指数によれば、中国、インド、ブラジルなどの発展途上国は、肉の消費量が増えており、肉の供給も逼迫しているという。
 
中国 自給自足の危機
 
中国にはずっと、自給自足の危機が存在していた。つまり、いつかは食糧の輸入に頼らなくてはならなくなるということだ。確かに、この不安定要素が見られる。
 
“ウォールストリート・ジャーナル”によると、中国による食糧輸入の増加によって、国際市場は一連の影響を受けているという。とうもろこし、小麦、米さらには家畜飼料、どれも例外ではない。
 
中国の経済専門家、王志浩は、これから数年、中国の食糧生産の伸びは、緩やかになるだろうと分析。中国当局は、中国にはⅠ億2,000万ヘクタールの耕地があるというが、実際には耕地面積はずっと縮小している。しかも、高齢化による労働力の減少や中国北部の深刻な水不足も、中国の食糧生産に深刻な影響を与え、輸入が増えるのは必至だと述べる。
 
また、アルジェリアで先日、食料価格に不満を持つ若者の暴動が発生。2008年世界食糧危機の際、ハイチ、エジプト、カメルーンなど、各地で暴動が起こっている。
上のリンクをクリックすると、このニュースの中国語版が見られます。

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