【新唐人2016年2月20日】
中国の有名な記者楊継縄(よう けいじょう)氏の著書『墓碑』(日本語訳『毛沢東の大飢饉』)が「壮大なビジョンと強権に恐れない報道精神」で中国の大飢饉の真実を明らかにしたことを評価され、ハーバード大学の2016年ルイスライアンズ賞(Louis. Lyons Award)を受賞しました。しかし、来月、米国での受賞を前にして、出国禁止になりました。
中国政府メディア『新華社』の元ベテラン記者だった楊継縄氏が、15年の歳月をかけ、大飢饉により数千万の中国人が餓死した事実を調査し、現地取材を重ね、2008年『墓碑』を香港で出版しました。『墓碑』は1200ページの長編で、中国大飢饉の権威的記述として評価されています。
米国ハーバード大学ニーマン財団は、昨年12月に、楊継縄氏の「壮大なビジョンと強権に恐れない報道精神」を表彰し、2016年のルイスライアンズ賞の受賞者に決定しました。
イギリスの『ガーディアン』(The Guardian Weekly)の報道によると、楊氏は受賞のため、来月、訪米する予定をしていましたが、以前所属していた『新華社』が彼の出国を禁じました。楊氏も『新華社』もその理由を明らかにしていません。
米の中国語雑誌『中国事務』編集長伍凡(ご ぼん)氏
「『新華社』はなんですか。司法部門でしょうか?警察部門でしょうか?冗談みたいですね。
楊継縄氏はかつてベテラン記者だがすでに退職していて、『新華社』とは関係がありません、年金も国からもらう。『新華社』からもらうわけではありません」
元中国共産党中央党校科学技術局局長杜光(と こう)氏
「1つは彼の本の『墓碑』が大躍進時代の正確なデータを出した。このデータは政府が出したものと違いがある。実は『墓碑』の中に具体的な歴史資料がある。『墓碑』という本のせいで、出国ができなくなっているが適切とは思えません」
1940年湖北(こほく)省に生まれた楊継縄氏は、清華大学を卒業後、『新華社』に就職し、90年代から中国各地で大飢饉に関する取材を続けていました。それによると、1959年から1962年までの間、中国各地で餓死した人数は3600万人にも上るそうです。
楊継縄氏の本には、「トウモロコシの芯や、木の皮まで食べ尽した。鳥のフン、ネズミ、綿もおなかに入れた。「観音土」(白い土、陶器製造原料)の産地では飢えた人々が土を掘りながら口に入れた。死体や、自分の家族までも食料になった。その当時、「人食」は特別なことではなかった。又、「子供を交換して食う」ことは、沢山あった」と書かれています。
伍凡氏
「毛沢東は軍事工業の発展を急いだ。食料をソビエトの武器と交換した。機械設備、生産ライン、軍事工業を発展させ、大国になりたくて、平民がその犠牲になった。まず農民達の命を犠牲にした。これは歴史の事実です」
楊継縄氏が記録した大飢饉は、中国の恥辱の歴史です。個人の良心のためだけではなく、2度と繰り返さないため、民族の記憶として、人々はこの事実をしっかりと受け止めなければなりません。しかし、中国の教科書は完全にこの事実を隠しています。
杜光氏
「歴史にある多くの過ち、暗黒の罪が中国共産党政権によって、暴くな、批判するな、見るなと言われて、ずっと隠されている。これは間違ったやり方です。楊継縄氏が出国できないのは『墓碑』だけではなく、彼の政治態度も関わっています。民主と自由を望む、過去の過ちを批判する。これらのすべては当局に不安を与え、外国に行かせられません」
楊継縄氏の父親も中国の大飢饉時代に餓死しました。彼が中学生の時でした。この本は、父親を含め餓死したすべての中国人のための「墓石」です。楊継縄氏は、この本の出版によって、不幸に遭ったら、この本は自分の「墓石」だと言いました。
『墓碑』が2008年に出版されて以来、海外で多くの賞を受賞しましたが、中国では、禁書とされています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2016/02/17/a1253095.html (中国語)
(翻訳/小松 ナレーター/萩野 映像編集/李)