【新唐人2015年06月18日】6月13日に始まった上海国際映画祭の日本映画週間では、「進撃の巨人」が上映される予定でしたが、急きょ、中止されました。その背景を探ります。
今年の上海国際映画祭では、日本の作品、「進撃の巨人」が中国で初めて上映される予定でした。
しかし開幕の数日前、つまり6月8日、中共当局は中国で上映を禁じる日本映画38本を発表しました。そのうちの1本が「進撃の巨人」です。
大ヒットコミックを映画化した「進撃の巨人」は、残酷な弱肉強食の世界を描いています。巨人が世界の大部分を占拠し、人類は高くそびえる城壁の中で暮らすしかありません。人類はこの隔絶された環境の中で、100年以上の平和を享受し、徐々に恐怖心を忘れていきます。するとある日、身長60メートルの「超大型巨人」が現れ、圧倒的なパワーで城門を壊し、人類を食べてしまいます。絶望に満ちる世界で、人類はいかに生きるべきなのでしょうか。
この作品は、上海国際映画祭の審査を通り、上映される運びになっていましたが、映画祭の直前に上映中止が決まりました。当局の言い分によると、アニメ作品は暴力やポルノ、ホラーを含み、未成年者の心身の健康を損なうため、放送禁止を決定したということです。
実は、中国の放送禁止政策で最も非難されている点は、ほかの多くの国のように、未成年に特定して禁止する制度がないことです。
文化評論家 葉匡政さん
「中国で現在映画の検閲が比較的厳しいのは、年齢で分けていないことが重要な原因です。成人と児童の映画を一緒に審査しています。成人を児童と見ており、これでは不公平です」
ジャーナリスト 楊偉東さん
「暴力シーンと言えば、第二次世界大戦から70年も経ったのに…私も多くの日本人を取材しましたが、中国にいる日本人も含めて、あの戦争を深く反省していました。しかし中国映画の90%は抗日戦争もので、暴力に満ちており、憎しみを助長しています」
「進撃の巨人」が上映禁止になったことについて、日本のネット民は、こんなコメントを書いています。「侵略してきた敵と戦う行為が、暴力の助長と簡単に言えるのか。審査員は本当にこの映画を見たのか」。
「それらのアニメよりも、誇張された抗日映画のほうが暴力を喧伝し、憎しみを広げているのではないか」。
「巨人の襲来と弱い人類の抵抗は、少数の資産家と大多数の貧民の関係を反映しているのではないか」
その日 人類はついに思い出す…
巨人に制御された恐怖を
「ニューヨーク・タイムズ」は、「進撃の巨人」の内容について、中国と直接、関係はないが、軍隊が巨人の政府を倒し、新政府を樹立するストーリーは、中国の検閲制度で歓迎されないだろうと述べています。
ジャーナリスト 楊偉東さん
「なぜ この社会はこれほど脆弱なのでしょう。1本のドラマ 1つのシーン、1つのフィクションさえ受け入れられません」
文化評論家 葉匡政さん
「目下 中国の検閲制度は中国映画のオリジナリティやその発展に対して、大きな影響をもたらしています。中国映画は小さな空間の中でしか生きられません」
「ロサンゼルス・タイムズ」の報道によると、アメリカのオリバー・ストーン監督は去年の北京国際映画祭で、「当局が検閲をやめ、芸術家の批判精神を許さない限り、中国は永遠に世界レベルの映画文化を持てない」と語っています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2015/06/17/a1204163.html (中国語)
(翻訳/河合 ナレーター/村上 映像編集/李)