【新唐人日本2011年5月13日付ニュース】近年、中国で社会問題になっている農村の留守児童。その数6000万人とも言われます。作家の梁鴻さんは農村の現状を、“村には人がいなくなり、家は取り壊され、土地は荒れるばかり。親子の離れ離れは当たり前になった”と嘆きました。
台湾の“アジア週刊”によると、2億5千万人の出稼ぎ労働者が故郷に残した留守児童の数は、2009年の5800万人から6000万人近くになりました。中には、1歳未満の赤ん坊を親に預けて、出稼ぎに行った人もいます。また、自立もできない年齢から寄宿学校に入るケースもあります。
中国政府が2005年に改定した“義務教育法”では、農村教育への投資を増やし、2007年には教科書や寄宿費用の免除を全面的に実施するとあります。表面上、農村学校の進学率は上昇を続けています。しかし、農村教育に詳しい梁暁燕さんによると、一部の数字は統計されません。例えば、99%の入学率に対し、中退も多いといいます。しかし中退率は統計されないそうです。
梁さんは2007年、広西省のある農村小学校で1年間勤務。そこで目にしたのは、入学時56人だった生徒が、4年生になると31人、6年生になると16人に減少。周辺の五つの小学校の校長もみな、中退率は50%以上だと認めたそうです。しかし、この中退率は統計されることはありません。
また、当局は近年、農村の学校を閉鎖し、県レベルの寄宿学校を大々的に推進。
しかし、新しい学校がまだ完成しないうちに、農村の学校が閉鎖され、十数校の生徒が押し寄せることが多いといいます。教師も教室も足りず、7~80人が一クラスになります。それに、学校に24時間住むため、心理的問題も多いといいます。最も教師を悩ませるのが、子供たちの物分りの悪さと悪質行為だといいます。
1998年から2007年の間、中国の就学適齢期の児童数は24%減少。それに比べ、学校の数は47%も減少。農村の学校を大量閉鎖した結果、多くの児童は学校にすら行けなくなりました。
作家の梁鴻さんは著書の中で、故郷では小学校閉鎖後、祖父母は孫を町の学校に送り迎えするのに、1キロの道のりを、朝昼晩計3回往復しなければならなくなったと綴りました。
1歳未満から親元を離れた子供たちは、6歳で小学校に入り、中学生になると寄宿学校に入ります。多くの児童は心を閉ざし、劣等感が強く、性格も偏屈になっているといいます。また、成長した留守児童による犯罪は、2007年から2009年の間に、倍増しています。
進学率のみを追求する農村教育の現状に、“アジア週刊”も疑問を投げかけます。親の愛情を知らずに育つ留守児童。学校に行くのは進学のため。なのに、農村の大学進学率は1割未満。
彼らの未来は、どこにあるのでしょうか?
新唐人テレビがお伝えしました。
(中国語)