【新唐人2011年10月31日付ニュース】多くの製品に欠かせない原料、レアアース。中国のレアアースの生産量は世界の95%を占めます。ここ数ヶ月国際的なレアアースの相場が20%下がったことを受けて、中国の二大レアアース生産企業が一時的に生産を止めることを決定。多くの国の不満を呼びました。
中国の元指導者、鄧小平は1992年、「中東には石油が、中国にはレアアースがある」と発言。ここから中国のレアアース開発が本格的に始まります。
しかしレアアースの相場の下落を受け、中国でレアアースの生産が止まりました。
10月19日、中国最大のレアアース生産企業、包頭鋼鉄が1ヶ月の生産停止を発表。10月25日には、中国五鉱集団公司も生産停止に動きました。
これについてイギリスのフィナンシャル・タイムズは、中国政府によるレアアース企業の再編によって市場が揺れていると指摘。ボイス・オブ・アメリカの中国語版は26日、トヨタやアメリカのゼネラルモーターズが始めたレアアースの使用量をできるだけ減らす研究やアメリカ、ロシアやオーストラリアの鉱山開発計画に触れました。
イギリスの地質調査局の責任者は、中国がこれまでずっと低コストでレアアースを生産してきたため、価格が下がり続け、結果、多くの国のレアアース企業が倒産に追い込まれたと指摘。しかし新たに鉱山を2つ開発すれば、レアアースを中国に依存する現状を変えられると分析します。
ウォールストリートジャーナルも、アメリカ国防総省が最近議会に提出した報告書を紹介。報告書によると、アメリカ国防総省はすでに、レアアース酸化物を再利用できる可能性のあるアメリカ企業探しに着手したほか、レアアースの供給ストップがもたらすリスクも検討しています。
インド・ニューデリー政策研究センターのブラーマ・チェラニー(Brahma Chellany)教授も、フィナンシャル・タイムズへの投稿で、中国はレアアースの独占を一種の貿易手段にしていると述べ、南シナ海紛争における多国間による解決を阻(はば)んでいると指摘。さらに中国は水資源も、政治の武器にしており、近隣諸国の懸念を呼んでいるとも言います。
中国は2008年、すでに価格操作の一環としてレアアースの生産量に上限を設定。また2010年、尖閣諸島問題で日中がもめた際、日本へのレアアース輸出を止めて、ひんしゅくを買いました。
日本はレアアースの83%を中国に依存しています。そこで、20年間は使えるという埋蔵量が指摘された海底の開発について、現在検討中です。
しかし1997年から2010年までの10年余りで、中国のレアアース埋蔵量が世界に占める割合は、43%から30%にまで減少。今のペースで生産が続くと、15年から20年しか持ちません。ただレアアースの生産制限では、中国も国内から圧力を受けています。
共産党系の新聞、「中国青年報」によると、多くの地方政府はすでに、レアアースの生産や輸出に財政を依存しています。もし国がレアアースの生産量や輸出量を制限しようとしたら、直接地方の経済利益に影響するため、地方政府や生産企業は必死になって抵抗します。
調査によると、ここ10年余り、中国のレアアース企業は、原料を輸出しているに過ぎず、加工して付加価値をつけることもしていません。そのため、利益率が低いほか、レアアースの採掘による環境破壊もきわめて深刻です。1トンのレアアースを生産するのに、200平方メートルの地表の植物を破壊しています。現在、1トンのレアアースの生産により数十万元の利益が出るものの、将来環境を元に戻すためには数千万元もかかると見られます。
新唐人テレビがお伝えしました。
-【禁闻】中国暂停稀土生产-引发国际问题.html