【新唐人日本2012年5月12日付ニュース】南シナ海のスカボロー礁(中国名:黄岩島)の領有権をめぐり、中国とフィリピンの対立が続いています。中国当局はフィリピン当局を厳しく非難する一方で、兵力増加による恐喝も続けています。近日中国当局は、フィリピン産の果物の検疫を強化。外部からは経済的対抗措置で領有権の譲歩を迫っていると見ています。
最近、中国国家品質監督検査検疫総局は公式サイトに、フィリピン産果物からは何度も害虫を検出したため、バナナなどフィリピン産果物に対する検疫を強化し、抜き取り検査を強化するとの通知を出しました。
5月2日に出されたこの通知は、8日に品質検査総局のサイトに掲載。これは、フィリピン産果物に対する二度目の検疫強化の通知です。
ボイス・オブ・アメリカは、これは経済的手段で政治に圧力をかける中国の常套手段で、日本や台湾もかつて似たような経済的脅迫を受けたことがあると報道。
フィリピンの「バナナ栽培輸出企業協会」によると、すでに輸出したバナナが中国の検疫検査を通過できていないそうです。南シナ海問題が中国の対抗措置を招き、フィリピンのバナナ産業が大きなダメージを受けかねないと憂慮を示しました。
フィリピンが海外に輸出するバナナの過半数が中国に輸出され、2011年の貿易総額は300億ドルに達し、歴史記録を創りました。
南シナ海のスカボロー礁の領有権をめぐる対峙はすでに1ヶ月以上続いています。中国は最近、スカボロー礁付近の中国船の数を14隻から33隻に増やしました。中国外務省の傅瑩副大臣も「フィリピン側の事態拡大に対する各種準備はできている」と警告。中国の政府系メディアも、このまま行くと戦争になりかねないと恐喝しています。
この事態に対し、時事評論家の横河さんは、中国が真に関心を払っているのは領有権ではないと指摘します。たとえば、ベトナムから勝ち取った領土を、中国はその後すぐベトナムに返還しました。ただ外部の事件を利用して国内の政治危機から目をそらすためだと指摘します。
時事評論家 横河さん
「国内の政治が不安定で、中共の統治に不利、または危機に晒されている状況下、何かを利用して注意力をそらします。その一方、もし開戦した場合、緊急状態を理由に国内の活動者の口を塞ぐのです」
鄧小平が当初、ベトナムとの戦争を命じたのは、戦争を通して自分の地位と政権を強化するためだったと指摘します。今の状況が中越戦争と違う点は、中国は海軍による作戦が得意でないため、当局も決断を下せないと分析します。
時事評論家 横河さん
「戦争が長引くと、中共の統治には巨大な脅威となります。なぜなら、民族主義を利用して、政権の危機を隠そうとしていたからです。しかし、戦争になった場合、早く決着をつけ、勝たないと、その危機を加速化するでしょう」
イギリス「BBC」によると、フィリピンのガズミン国防相は9日、ワシントンでの会談に参加。南シナ海で衝突が発生した場合、アメリカは1951年に調印した「米比相互防衛条約」に基いてフィリピンを保護してくれるとの保障を獲得したと示したそうです。
NY州立大学元教授 謝選駿さん
「もし中国がフィリピンと武力衝突を起こした場合、他の国との衝突も不可能ではありません。最後には米国をも巻き込みます。そうなった場合、中国は大きなトラブルに直面するでしょう。米国は南シナ海周辺の他の国と軍事同盟を結成するでしょう」
また、中国当局は武力行使の振りをして、国内の異見者を抑圧しようとしるだけであって、外部と戦争を起こす度胸はないと指摘します。
新唐人テレビがお伝えしました。
www.ntdtv.com/xtr/gb/2012/05/11/atext699361.html.(中国語)