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中共メディアの「殲15発着艦」報道 真の意図は?

2012年11月30日
【新唐人2012年12月1日付ニュース】中国がウクライナから購入した廃棄航空母艦“ワリャーグ”が14年間の改造を経て、“遼寧”号に変身しました。先日、中国メディアは“遼寧艦”の艦載機がはじめて発着艦に成功したと大々的に報道。一方、アメリカメディアは、“遼寧艦”が実戦で力を発揮するにはまだ早いとし、“遼寧”は国家の力の象徴に過ぎないと指摘しています。国際アナリストも空母“遼寧”が戦闘力を備えるまで4-5年はかかると見ています。では、共産党メディアの真の意図は他にあるのでしょうか。
 
中国の中央テレビ局の報道映像を見ると、中国産の戦闘機“殲15”が“遼寧”艦の甲板に着艦しています。新華社も同様に、“最近の演習で「殲15」が発着艦に成功した”と報道。しかし、演習が行われた場所や時間には触れていません。
 
時事評論家 藍述さん
「これは愚かなやり方です。中共の空母が一旦出航すると、世界に向け遠洋作戦能力をアピールするのと同じで、その時、中国周辺の諸国は米国と同盟を結ばざるを得なくなります」
 
時事評論家・藍述さんは、鄧小平と毛沢東の時代は中国内部の矛盾が今のように鋭くなく、民族感情の高ぶりを避けるため、軍事面においては対外的に控えめだったといいます。
 
時事評論家 藍述さん
「今の北京の指導者が直面している問題は国内の鋭い矛盾です。このような状況下、民族感情は必ず使う。または使わざるを得ない武器になり、空母のことをできるだけ大げさに取り上げざるを得なくなっています。目的は民衆の注意力を現有の社会矛盾からそらすためです」
 
元歴史学教授・劉因全さんは、中国共産党がこの情報をもって周辺国を威嚇するのは難しく、中国と領有権を争っている国にとって、空母は遠距離または中距離弾道ミサイルにも及ばないものだと示します。
 
元歴史学教授 劉因全さん
「実戦での働きは大きくありません。この種の空母は単独ではたとえ尖閣の海域に行ったとしても、攻撃を受けやすいのです。フィリピンでも同じです。フィリピンは米国の同盟国なので、空母が行ったとしても何の軍事圧力にもなりません」
 
イギリスの“フィナンシャルタイムズ”は先日、中国の周辺国は中国の領有権の主張に対し懸念を抱いていると報道。中国の新デザインのパスポートに印刷された地図に、南シナ海のほとんどが中国領として記載されているからです。このことは、これらの地域に対し主権を主張する周辺国の怒りを買っている、と報じました。これに対し劉さんは、国内の民衆に見せるためだと述べます。
 
元歴史学教授 劉因全さん
「これは主に国内の庶民に見せるためです。『わが海軍、空軍の実力は大幅に増強した』と見せつけ、共産党の統治を安定させるための手段なのです」
 
中国の一般市民はどうみているのでしょうか。ある市民は国内の民生問題も解決できないのに、外国に武力をひけらかすのは愚かだと述べます。
 
湖北省武漢市民 鄢裕祥さん
「専制制度だと他国との関係がいつも緊迫しているので、これらのものが必要なのです。しかし歩む道が間違っていると、最終的には武力を使っても、相手に勝てるとは限りません。内部が不安定だと、人心もばらばらだからです。外部に対し、武力をひけらかしても実際は矢を射る勇気はありません。裏で誰にやられるかわからないからです」
 
新華社の報道では、空母と艦載機の技術的性能は充分に検証され、設計上の要求を完全に満たしたと称えています。
 
一方、軍事専門家は“遼寧艦”が戦闘力を備えるまで数年はかかると見ています。“遼寧艦”はウクライナから購入した旧ソ連が廃棄した空母を改造しており、中国が海外に対する軍事影響力を拡大させるためには、さらに各種の護衛艦を開発し、相応技術を備えてはじめて、アメリカのような空母打撃群を形成することができると指摘しています。
 
新華社はまた、“殲15”の各種の性能はロシアのスホイ-33およびアメリカのF-18などの現役の主力艦載機に匹敵すると豪語。
 
しかし、航空軍事専門家によると、“殲15”はロシアの艦載戦闘機スホイ-33を模倣したもので、エンジンもロシア製です。中国製のエンジンは出力と耐用性に欠けるからだそうです。
 
新唐人テレビがお伝えしました。
 
 
(翻訳/坂本 ナレーター/村上 映像編集/工)
 

 

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