【新唐人2009年12月4日付ニュース】香港の「明報」は12月2日、中共商務部が欧米の大手メディアに「メイドインチャイナ」の商業広告を打ち出したことについて社説を発表した。中共政府は30秒の広告を利用して中国製品のイメージアップを狙っているが、「明報」は「メイドインチャイナ」のイメージ改善には国家の品質の向上がキーポイントになるのではと指摘した。
世界的な金融危機の中、欧米諸国では非常手段を取り、金融システムと就職率の安定を図っている。国際上の貿易摩擦も日に日に深刻化し、中国製品は厳しい環境に直面している。他国からの圧力に対し、中共の従来の手口は感情的に厳しい批判を繰り返すことだったが、今回の商業広告は中共の外交手段が巧みになったことを顕していると「明報」は分析。
アメリカの「ウォールストリートジャーナル」は、この「メイドインチャイナ」広告は2008年から放送を計画していたが、メラミン入り毒ミルク事件により延期となったと指摘。イメージ広告により、劣悪な中国製品のスキャンダルが消費者に残した悪印象を少しは改善できるとしても、完全にそれを払拭するのは不可能である。
近年、中国産の飼料、海産物、歯磨き粉、医薬品、食品、玩具などの品質問題が絶えない。「メイドインチャイナ」は国際市場だけでなく中国市場においても信用を失っている。例を挙げると、低品質粉ミルクにより大頭嬰児が現れ、メラミン入り粉ミルクにより多くの児童が腎臓結石になってしまった。これら一連の事件により、高いお金を払ってでも外国製のミルクを買う親が急増している。「明報」の社説は、中国人が中国製を好むようになってはじめて、世界にも認めてもらえるようになると指摘した。
海外メディアと人権団体の調査によると、「メイドインチャイナ」は「搾取工場」と結びつけられることが多い。廉価労働力は中国が外国企業を引き付ける要因のひとつである。中国に進出した企業が営利のためにコストダウンを図るのは必然的であり、また法律制度が不健全なため、中国人労働者の権益はほとんど保障されない。東莞、汕頭などの外資企業が多い都市は、往々にして集団での抗議事件が多発する都市でもある。
2009年、アメリカの非政府組織のNLC(「ナショナル労働者委員会」)は、「中国のハイテク産業の苦難」と題した報告書を発表した。報告書では、IBM,マイクロソフト、デル、レノボ、HPの下請け工場(である東莞マテル社)がまさに「搾取工場」であると指摘した。
メイドインチャイナのイメージ改善のキーポイントは、国家品質を上げることである。失った信用を立て直すことは容易ではない。今回中共政府が30秒の広告を利用してメイドインチャイナのイメージアップを図っているが、欧米社会の消費者が納得するかどうか、答えはもうすぐ出されるだろう、と「明報」は指摘した。