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利上げを避ける中国――高インフレを前に躊躇する理由とは

2010年12月14日

【新唐人日本2010年12月15日付ニュース】中国は11月の消費者物価指数が5.1%上昇し、28ヶ月ぶりの伸びになりました。10日には、金融機関が中央銀行に強制的に預ける額の比率である預金準備率が0.5%上がり、今年6度目の引き上げとなりました。しかし、預金準備率の引き上げだけでは、インフレに対応できないと専門家は述べます。

中国人民銀行の12月10日の発表によると、11月末までで、※広義の通貨の残高が71兆300億元に達し、去年の同期よりも19.5%増加。狭義の通貨の残高も25兆9,400億元に達しました。
 
また、中国の11月の新規貸付総額は、市場の予測を大幅に上回り、5640億元に達しました。中国市場には、資金がいまだにだぶついています。
 
中国人民銀行によると、利上げを避けて預金準備率の引き上げにとどめたのは、利上げで投機的資金がさらに流入してくるのを防ぐためだといいます。
 
これについて、経済学者、謝国忠氏は台湾の新聞“経済日報”に対し、利上げをせず預金準備率の引き上げにとどめる方法では、根本的には解決できないため、来年のインフレの改善は期待しにくいと述べました。
台湾“経済日報”経済学者 謝国忠氏「預金準備率の引き上げだけでは根本的には解決できず、来年のインフレの改善は期待しにくい」
 
実際、今年5月、中国各地で物価が急上昇した時、謝氏はすでに深刻なインフレ時代の訪れを警告し、当局の数字にも疑問を投げかけていました。一方当局は当時、インフレの心配はないと強調していましたが、現実には、11月の消費者物価指数は5%を超えました。
 
謝氏はさらに、インフレ抑制の一番の方法は、利上げだとも指摘。銀行の大部分の貸付は、不動産、国有企業および地方政府です。一旦利上げをすれば、これらにとって大きな打撃となります。しかしこれらの勢力は人民銀行よりも強いので、利上げは困難なのです。
 
目下、中国各地で給与アップが見られるものの、物価の上昇に追いつきません。特に住宅価格。また利子の収入もインフレに追いついていません。そこで、中国の不動産バブルには利上げしかないと謝氏は強調。ゆがんだ市場の状態が続けば、その報いは大きいと警告します。
 
イギリスの“フィナンシャル・タイムズ”は、過熱気味の中国経済に対し、人民銀行がいまだに利上げをしていないのは、当局がいまだに計画経済にこだわっていることを示すと指摘。深刻なインフレを前に、銀行の預金準備率の引き上げ措置しかとっていません。ただ、この引き上げも今年で6回目になります。実際、人民銀行の引き締め措置は、インフレ抑制をできていないのです。
 
新唐人テレビがお送りしました。
     広義の通貨:狭義の通貨に定期性預金(定期預金や定期積立金など)を合わせたもの。
     狭義の通貨:現金通貨と預金通貨。
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