頬(ほほ)がパンパンに腫れる上に、高熱も出るといえば…おなじみ「おたふく風邪」である。このおたふく風邪、インフルエンザと同じように、ウィルス(ムンプスウイルス)が引き起こすために起こる病気だ。
だがご存知のように、現在のところウィルスを撃退する西洋薬は存在しない。したがって西洋医学では、おたふく風邪にかかった場合、治療のしようがないのである。唯一の対処法は予防接種である。
そこで今回林先生がご紹介するのが「照海穴(しょうかいけつ)」だ。これは腎経に属するツボで、内くるぶしの下約3センチに位置する。この「照海穴(しょうかいけつ)」に対して瀉血をするのだ。つまり、火であぶって消毒した針をこのツボへ刺す。ここにたまっていた淀んだ(よどんだ)血を数滴ほど出して除く。すると経絡の流れがスムーズになるのだ。
もう1つは漢方薬。これはどこにでもある、ありふれた野草「タンポポ」である。タンポポには消炎作用があるからだ。使い方は、次の2通り。
まずは湿布法。生のタンポポ50グラムをつき砕いてから汁状にする。これを顔に貼る。もう1つは内服で、タンポポを煎じた汁を飲む。
急な炎症の場合、漢方にすがる人は多くないだろう。しかし、漢方は何千年もの間人々が実践を積み重ねて築き上げた医学である。そこには、人々の知恵と思いがいっぱいに詰まっているはずだ。思いもかけない宝が、そこに隠れているかもしれない。