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手の話(下)ー「争」に隠れた両手

2012年08月11日
【冒頭の詩】
「両手は万能」も両手次第
友に合えば握手する
甘い月日は手をつなぐ
一家を立てるには手をまめに
人が困れば手を差し出す
古い情は手を切りがたい
 
 
 
【あらすじ】
手を結ぶ、手を切る、手を差し伸べる、手を出す、手を下す……。「手」を使った言葉は枚挙に暇がない。人は手を使って生きる。また時に、手を使って自分の感情を表現するからだろう。
 
また、「手」を用いた漢字も豊富だ。例えば「争」。現在の楷書からは「手」を見出しにくいが、実は上と下にあるのが手なのである。その間には挟まれた一本の線。これは、互いに奪い合うあるものを表す。すなわち手と手がそれを奪い合っているのだ。
 
実際、多くの漢字は楷書だけを見ても、その本当の由来や姿が分からない。つまり、今、目の前にあるものだけにとらわれると、その真相には近づけないかもしれない。物事は一時だけではなく、そのものの歴史全体を見る必要があるのである。
 
 
【漢字について】
1、甲骨(こうこつ)文字:
四千年近い歴史を持つ漢字の中で、最古のものとして残っているのが甲骨文字。殷の時代、国にとって重要なことがあると、亀の甲羅や牛の骨を焼いて占った。そのひび割れで出た占いの結果は、刻して記録された。この際使われた文字が、ずばり甲骨文字。
 
2、金文(きんぶん)文字:
甲骨文字の後、つまり殷・周から秦・漢の時代まで使われた文字。青銅器に刻されたり、鋳込まれたりした。ここでの金は、青銅器を指す。当時は、官職に任命されたり、戦功を上げたりすると、それを青銅器に記録したという。
 
3、小篆(しょうてん)文字:
金文の後に誕生したのが篆書(てんしょ)。これは小篆と大篆に分かれる。秦の始皇帝は、ばらばらだった文字を統一し、標準書体を定めた。これが小篆だ。
 
4、楷書(かいしょ):

南北朝から隋唐の時代にかけて標準となった書体。漢の時代まで使われた隷書から発展したもの。 

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