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強制的な解熱―調和、つまり中庸こそが大切

2010年06月16日

子供はよく発熱する、という。その場合、病院で通常行うのは抗生物質や解熱剤の投与、あるいは氷枕やアルコール綿の摩擦などだろう。化学的方法であれ、物理的方法であれ、とにかく熱を下げるのだ。これは、何よりも高熱による脳へのダメージを避けるためであろう。

しかし、これはあくまで対処療法に過ぎない。熱が出るのは、体のどこかに不調があるためである。しかし、この原因には手を付けてはいない。例えば、炎症の場合、白血球などの免疫が必死になって病原菌を退治しているために体温が上がる。体温を下げることは、すなわち免疫活動を抑え付けることになるので、病原菌はかえって増殖する。結果、根本の病気は治らないのだ。
 
では一方の漢方はどう対処するのか。まずは病気の原因、すなわち内因、外因、不内外因を診る。例えば外因は風火暑湿燥寒。このどれかが原因だと分かれば、そこにターゲットを絞ればよい。余分なものは除き、不足しているものは補う。このようにして、体の本来あるべきバランスの取れた状態に持ってくるのだ。
 
調和やバランスがよく説かれる漢方。これはまた、「中医」とも呼ばれる。この「中医」は一般にいわれているように「中国医学」の略ではなく、「中庸の医学」の略だそうだ。そう、漢方が最も重んじるもの、それは偏りなく中正である「中庸」なのである。
 
 
 
 
 

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