秋、そして冬へと季節が向かい、寒さが厳しくなると肌の乾燥が気になってくる。もちろん、一昔前のようにひび割れて血が出るといったあかぎれは、めっきり減った。しかし、肌のかさつきに悩む声は尽きない。こんな場合、よく言われるのがローションや乳液、クリームによる保湿だ。では、漢方ではどうとらえるのか。
林先生はまず、漢方の鉄則「天人合一」を取り上げる。「天人合一」とは、人の営みは自然の動きと連動していることを指す。例えば四季折々の食べ物は、その季節の体にとって必要なものなのである。そこで旬の食べ物がお薦めなのだ。
ここではまず柿とハス、梨を取り上げる。秋口から冬の旬の食べ物だ。これらは潤いを与えるそうだ。ただし肌のかさつきが重症になったら、これでは間に合わない。そこで先生が取り上げるのは、当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう)だ。
当帰四逆湯は、当帰(トウキ)、桂皮(ケイヒ)、芍薬(シャクヤク)、木通(モクツウ)、細辛(サイシン)、甘草(カンゾウ)、大棗(タイソウ)といった成分で出来ている。実はこれは冷え性改善の漢方薬なのだが、肌の乾燥を和らげる作用もある。血行が悪くなれば肌の角質層が厚くなり、かさついてひび割れになりやすいためだ。漢方では、経絡の通りがスムーズになれば、肌も自然に潤ってくると見る。
もちろん、漢方薬を服用しないですむように、普段から「天人合一」の生活をするのが一番理想的だ。