毎年冬になると、手足の冷えに悩む方が多い。特に昨今、環境意識の高まりや財布のひもを締めたいという消費者心理を反映した商品が売れ筋だという。湯たんぽや自分の体温で温まる下着などが代表例だ。では、漢方はこの冷え性にどう対処するのか。実は、「身近で手軽な方法」こそ、漢方の得意技なのだ。
例えば、女性司会者の李さんが挙げてくれた縄跳び。もちろん、これは漢方療法ではないが、漢方からこれを切ると面白い。なぜ、縄跳びをすると手足がポカポカしてくるのか。西洋医学では、「手足の血行循環が良くなったから」。一方の漢方ならば、これを「形の変えたツボ押し」ととらえるのである。
というのも「五指連心」というように、手と足の指からは、あらゆる経絡が心臓へ連なっている。つまり、肝心脾肺腎など様々な経絡の始まりなのである。したがって、縄跳びを通じ手足の先を動かせば、体の陽気が末梢まで十分届くようになり、手足まで温かくなるのだ。
林先生は、この考えにそって手軽な「冷え性改善法」をご紹介。例えば、「湧泉穴」をもむ、足首を動かす、腹部をさする、督脈・任脈に沿ったマッサージなど。どれも簡単なものだが、その効果は驚きだという。林先生がその証しである。
この経絡やツボを利用した漢方は実に奥深く、不思議だ。これらは、血管などとは違い目には見えない。しかし、林先生をはじめ多くの実例が証明しているように、これは確かに存在するのである。我々は目に見えるものこそ確かで、見えないものを信じようとはしない。これは理にかなっているようで、実はそうではないともいえる。漢方はそんな点を示唆しているのだ。