【新唐人2013年12月5日付ニュース】中国当局は第18期「三中全会」のあと、一人っ子政策を緩和し、夫婦の一方が一人っ子の場合、二人目の子供を持つことを認めると発表しました。一方、イギリス在住の作家・馬健(ば けん)さんは、一人っ子政策の緩和は、民衆のさらなる不満を呼び、山積みされた社会矛盾が爆発する恐れがあると指摘します。
深刻な高齢化問題、労働力の減少、賃金の上昇、外資の撤退、男女比例のゆがみなど、一人っ子政策がもたらした弊害が表面化しています。三中全会で一人っ子政策の緩和を発表したものの、外界からは条件付きの緩和では意味がないと見なされ、全面的な廃止が呼びかけられています。
しかし、当局は一人っ子政策を緩和してはいません。イギリス在住の作家・馬健さんは、中国の一人っ子政策によって多くの利益集団が生み出されたと指摘します。
在英作家 馬健さん
「民間にこんな言葉がありました。『都市では地皮(土地)に頼り、農村では肚皮(腹)に頼る』。意味は農村では、一人っ子政策が金儲けの重要な手段となり、女性の『腹』に頼るということです。このような状況下で、共産党がこの政策を一気にやめるのは非常に困難なことです」
馬さんによると、去年1年、一人っ子政策違反として徴収した罰金は、北京で4億元、江西省で32億元に上るそうです。これらは計画生育部門の帳簿に記載されているデータで、徴収した罰金の半分は記載されていないといいます。農民の場合は直接現金で払っても領収書すら発行しないそうです。
この女性の「子宮」に頼って生計を立てる産業を一掃するのは容易ではないと馬さんは述べます。
在英作家 馬健さん
「広東省電白県の計画生育巡回裁判所の(罰金)ノルマは年間3000万元です。女性の子宮から3000万元をかき集めないといけないのです。ノルマなのですから。何人の子宮だと3000万元という大金になるのですか」
1991年、山東省冠県では「100日のうちに県内の女性のおなかの胎児を全部中絶させる運動」を大々的に行ないました。当時のスローガンは「子供を流産し、共産党を安心させる」でした。この運動で、およそ2万人の胎児が母親のおなかの中で命を絶たれました。一部胎児は井戸に投げ込まれ、井戸からは悪臭が漂いました。
馬さんは、中国人は奴隷に訓練させられてしまったと嘆きます。女性の子宮は自分のものではなくなり、国家のものとなり、国家が管理しているのです。
幸いなことに近年、中国人が徐々に目覚め始め、反抗し始めています。2007年、広西省では大規模暴動が発生し、5万人あまりの民衆が計画生育事務所を破壊し、警察署を焼き払いました。原因は一人っ子政策事務所の過酷な罰金が、ついに庶民の怒りを爆発させたのでした。この事件は1989年天安門事件以来最大規模の暴動でした。
馬さんは、当局が今になって一人っ子政策を緩和することによって、長年山積みされた鬱憤と矛盾が爆発し、さらなる抵抗を招くと見ています。
当局のデータによると、中国の出産適齢期の女性は3億人。うち、1億人の女性が避妊手術を受けているため、出産できません。残りの2億人は避妊リングを装着させられています。
避妊リングを装着させられている2億人がもし、2人目の出産が可能になると、リングを外すだろうと、馬さんは述べます。
在英作家 馬健さん
「これらの女性が若い一人っ子家庭なら、2人目を産めると聞くと、大きな刺激を受けるでしょう。敵対関係になり、2人目が産める人を恨み、この社会と制度を恨むでしょう。なぜ私の子宮を切ったのか、なぜ私の子宮は自分のものではないのかと。だから2人目が産めるとなったら、長年積み重なった恨みやえん罪が全部爆発するでしょう」
一方、中国の周辺国の韓国、香港、シンガポール、日本などでは、出産を激励しています。日本は人口密度が中国の5倍ですが、政府は出産を励ましています。なぜ中国だけが出産を制限するのでしょうか。
馬さんは、一部人口学者と中国当局は出産を制限しないと人口が爆発的に増え、資源が底をつくと考え、人口抑制はGDPの成長をもたらすと勘違いしていると指摘します。しかし、GDP成長を牽引する労働力は、新たに産まれる国民によるものです。例えば広東省深セン市だけでも数千万人の農村からの出稼ぎ労働者が働いています。馬さんは、中国のいわゆる改革開放はまさに、これらの人々によって創り出されたものであると指摘します。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2013/11/30/atext1014865.html (中国語)
(翻訳/坂本 ナレーター/水田 映像編集/工)