【新唐人2013年12月6日付ニュース】去年ダライラマ14世と会見したことで中国当局の怒りを買ったイギリスのデービッド・キャメロン首相が近日、史上最大とも言われる貿易使節団を率いて北京を訪問しました。「貿易と人権、どちらが重要なのか」。これをめぐって、西側世論で議論が展開されています。イギリスのメディアからは、経済利益のために中国に頭を下げ、人権問題を棚上げしたとして、キャメロン首相に対する批判が噴出しています。
12月2日、キャメロン首相率いる貿易使節団およそ150人が北京に到着し、3日間の訪中を始めました。李克強首相との共同記者会見では、アメリカの通信社ブルームバーグの記者の出席が禁止され、イギリスBBCの記者の質問も無視されました。
キャメロン首相は李首相に対し、「チベットは中国の一部。独立は支持しない」と立場を表明。今回の訪問の前にもキャメロン首相は「イギリスは中国のヨーロッパ最強の支持者になる」ことを約束しました。
一方、去年5月、キャメロン首相は中国当局の警告を無視して、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と会談を行いました。中国当局は強い反発を見せ、キャメロン首相に謝罪を求めたものの、拒否されました。当時、中国共産党機関紙「環球時報」は、「自分のやったことに対して責任を持つよう」キャメロン首相を警告しました。情報によると、その後、中国はイギリスに対する投資を減らしただけでなく、今年上半期のキャメロン首相の訪問も拒否しました。
また、ドイツとフランスが中国から貿易受注を取り付けたことで、イギリス国内で大きな圧力に直面していたキャメロン首相は、中国訪問で冷え込んだ英中関係を修復しようとしていると指摘されています。
アナリストは、今回の中国訪問はキャメロン首相の妥協と大きく関係していると分析します。
時事評論家 章天亮さん
「中共は一貫して経済利益で各国政府を丸め込んでいます。民主社会では経済発展は選挙の際、最も重要なポイントになるので、中共はこの弱みにつけこみ、妥協すれば、経済面で多少の利益を与えるのです」
これに対し、「デイリー・テレグラフ」、「デイリー・ミラー」、フィナンシャルタイムズなどのイギリスのメデイアは次々文章を発表し、キャメロン首相を批判しています。
イギリス第2位の発行部数を誇る「デイリー・メール」は、「イギリス政府は中国との貿易のために、過度に頭を下げ、敏感な問題を避け、中国の人権問題を無視する態度を取っているが、非常に危険なやり方である」と指摘しています。
フィナンシャルタイムズも、キャメロン首相は普遍的な価値観を放棄し、中国当局に必死に媚を売っているが、相手の尊重を勝ち取れるとは限らないと批判。むしろダライ・ラマ14世とチベット問題における強い態度を貫いた方が得策かもしれないと指摘しています。
時事評論家 章天亮さん
「多くの民主国家の元首は就任する前には中国に対し強気の態度を取ります。中共は法律と人権を踏みにじる政権なので、彼らは就任前は中国を厳しく批判しますが、一旦就任すると、経済利益や外交関係を考慮して、人権問題においては妥協するのです」
「デイリー・テレグラフ」は、「イギリスは融資と経済発展のために崇高な精神を捨てつつある」と指摘しています。また、中国資本に魅せられた首相は自ら積極的に中国人のビザ手続きを簡略化し、中国資本を招致しようとしているなどの例も挙げました。「中国からカネをもらっているが、我々は魂を捨てたのではないか」と疑問を投げかけています。
時事評論家の章天亮さんは、中国当局は、実際は弱者をいじめ、強者を恐れる見かけ倒しであると指摘します。カナダを例に挙げると、カナダ政府は中国の人権問題に対し一貫して厳しく批判していますが、中国との貿易は減少していません。キャメロン首相が妥協しなかったとしてもイギリス経済が影響を受けることはないと指摘しています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2013/12/04/atext1017249.html (中国語)
(翻訳/坂本 ナレーター/萩野 映像編集/工)