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我の話ー争いのもとは「我」にあり

2013年02月10日

 

 
 
【冒頭の詩】
自我を無理に通すのは
騒ぎやトラブルのもと
皆は我のため、我は皆のため
他人を優先すれば天地も広々
小さな私を犠牲に、大きな自分ができる
無私無我で正果が成る
 
 
【あらすじ】
中国のことわざに「目で見えるものこそ確か(眼見為実)」がある。一方、「目で見えるものが真実だとは限らない」ともいう。
 
例を挙げてみよう。今、周りを見回せば、いたるところ争いだらけだ。子供のけんかから大人同士のいさかい、さらには国同士の紛争まで、実にきりがない。「これらを解決する方法がある」と言ったら、人は笑うだろう。だが、実は複雑そうに見えることこそ単純で、難しく思えることこそ単純だともいえるのである。
 
まず、これらの争いの原点に立ち戻ってみよう。元をたどれば、「自分」すなわち「我(われ)」が良い思いをしたい、「我」の利益や名誉を守りたいなど……。つまり「我」へのこだわりが原因なのではないか?ならば、「我」へのこだわりを思い切って捨ててみよう。すると、「我」のために争っていたことが馬鹿馬鹿しく思えるはずだ。なぜなら、争う意味がなくなるから。このとき、目の前には全く違う世界が開け、天地の広さに新鮮な驚きを覚えることだろう。
 
では、「我」の字を見てみよう。実はこの「我」は象形文字において、非常に攻撃性の強い武器を表していた。もし、そんな鋭い武器にしがみつき、決して手放そうとしないなら、もちろん争いがやむことはない。逆に言えば、「我」を捨てることこそ、争いを収める鍵ではないだろうか?
【漢字について】
1、甲骨(こうこつ)文字:
四千年近い歴史を持つ漢字の中で、最古のものとして残っているのが甲骨文字。殷の時代、国にとって重要なことがあると、亀の甲羅や牛の骨を焼いて占った。そのひび割れで出た占いの結果は、刻して記録された。この際使われたのが、甲骨文字だ。
 
2、金文(きんぶん)文字:
甲骨文字の後、つまり殷・周から秦・漢の時代まで使われた文字。青銅器に刻されたり、鋳込まれたりした。ここでの金は、青銅器を指す。当時は、官職に任命されたり、戦功を上げたりすると、それを青銅器に記録したという。
 
3、小篆(しょうてん)文字:
金文の後に誕生したのが篆書(てんしょ)。これは小篆と大篆に分かれる。秦の始皇帝は、まちまちだった文字を統一し、標準書体を定めた。これが小篆である。
 
4、楷書(かいしょ):
南北朝から隋唐の時代にかけて標準となった書体。漢の時代まで使われた隷書から発展したもの。
 
 
 

 

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