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尿毒症―尿のトラブルには、腎と脾をケアする

2010年03月01日

尿蛋白、尿酸、尿糖、尿素など、「尿」と名の付く名詞は豊富だ。だが、これらがみな、尿に含まれるわけではなく、尿毒症と関係があるわけでもない。 

では、まず尿の簡単な基礎知識をご紹介。 
 
まず尿の成分だが、これが実に多い。例えば、尿の色素のビリルビンやその原料であるウロビリノーゲン。カリウム、カルシウム、ナトリウムなどのミネラル。すなわち、体にとってもう不要になった物たちである。 
 
この尿は、血液が腎臓を通過しながら生産される。人体の血液は約5リットルといわれているが、腎臓を通る血液は一日で何と1500リットル。この中で血液はろ過されて行き、最終的に膀胱に集まる。そして尿として一日約1500~2000㏄が排出される。 
 
このようにして、体の不要物質は尿を通じて外に出される。だが、この腎臓にトラブルが起こると、不要物質が体内に残ってしまう。例えば、クレアチニン、尿酸、尿素など。これがいわゆる尿毒症である。 
 
ちなみに、体にとって必要な物さえも尿の中に入ってしまう場合もある。これも、腎臓のトラブルが原因だ。したがって、尿から血液、血球、糖、蛋白などが検出されると腎臓の異常が疑われる。 
 
漢方では、この腎のトラブルにどう対処するのか? 
 
実は漢方には、「腎は先天の気をつかさどり、脾は後天の気をつかさどる」という言い方がある。よって、治療法の一つとしてはまず、先天の気(生まれながらにして持っている気)を補う前に、まず後天の気(食べ物などから取る気)を補う。すなわち、脾の陽気を補ってから、腎に治療を施すのだ。 
 
腎を治療するのに、まず脾からケアするというのは面白い。これは、陽気の不足という点からとらえたためであろう。つまり漢方では、一つの臓器や気管を見るのではなく、体全体をとらえるのである。

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