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不妊症(二)―「中庸」こそ漢方の核

2010年03月25日

中国語では漢方のことを「中医」と呼ぶ。一般にこれは「中国医学」の略称だと思われているが、胡乃文先生の解釈は面白い。実は中庸の「中」を指すのだという。すなわち偏りがなく調和が取れていること。これこそが漢方の核心なのである。

今回のテーマは引き続き不妊症だ。漢方ではこの不妊症を「種子」と「嗣育(しいく)」の2点から見る。「種子」とは精子と卵子の結合を指し、「嗣育」は胎児が育つことを意味する。不妊症に対しては、「種子」と「嗣育」が円滑に行われるように治療を施すのである。
 
ここでも「中庸」は重要な意味を帯びる。人が「中庸」でないから、つまりバランスの取れた良い状態でないから、「種子」も「嗣育」も問題が生じたためだ。では、どのように患者を「中庸」の状態に戻すのか。漢方医はまず患者の体から心、生活環境から置かれている状態まで全体をとらえる。そして、「中庸」を乱す問題を見極めて、再びバランスを取り戻して行くのだ。
 
このバランスだが、往々にして心のバランスが大きなカギを握る。逆に言えば、心が乱れた場合病を引き起こすケースが多いのだ。だから大切なのは、「心静かで欲望に淡白になり、気持ちを落ち着ける」ことである。
 
よって健康でいられるか、一番の決め手は自分とも言える。気持ちをコントロール出来るのは自分しかいないためだ。いかなることに遭遇しても、穏やかな心を保ち続ける。これこそが肝心だ。そう、自分にとって一番の名医は他でもない、自分なのである。
 

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