長い黒髪の美女。今、こんな日本人を探そうと思っても至難の技かもしれない。多くの若者は髪を染めているからだ。茶色に金色、時には赤や緑まで、まるで花畑のようにカラフルだ。
しかし見過ごせない問題もある。それは、染毛剤の持つ危険だ。
古くは写真の感光剤に使う硝酸銀などが用いられた。だが、その毒性が知られるようになると、この劇物はあまり使われなくなった。それに代わり登場したのは、ベンゼンなどの芳香族である。特に、フェニレンジアミンは多くの商品で使われている。これらのものは、アレルギーをはじめ、様々な体の不調を招くとされる。時には、癌を招く危険すらあるのだ。
実は、このような危険が指摘されて、もう久しい。だが、それでもヘアカラーする人は絶えない。なぜか?恐らく、自分は大丈夫だと高をくくっているからだろう。
ここで胡先生は、「居安思危」と述べる。これは中国のことわざで、「平和なときにこそ将来起こりうる危険に備えるべきだ」との意味だ。すなわち、まだ健康なうちに、病気にならないための備えをするのである。
恐らくこの言葉は、誰かの思いつきで生まれたのではない。はるか長きに渡り、人間はさまざまな営みを重ねてきた。そしてそこから「人間は自分には不幸は降りかからない、と考える習性があり、その結果痛い目に遭う」ことに気付いたのであろう。
これはヘアカラーにとどまらない。喫煙に飲酒、賭博から食習慣まで。あらゆることに対し、実は周りから警告のメッセージが発せられている。時には、謙虚にこのメッセージを聞いてみよう。古人の残した苦い教訓を無駄にしてはいけない。
ただし、白髪を黒く染め上げたい、と願うのは当然のことだ。歯の欠けた人が入れ歯をするように、最低限、身奇麗にしておきたいものだから。胡先生がお勧めするのは、古代から伝わる自然の材料だ。
今、日本ではヘナが流行しているが、漢方にも優れた物が多い。最も身近な材料だとお茶だ。このほか、旱蓮草(かんれんそう)、何首烏(かしゅう)など。詳しい使い方などは番組をご覧下さい。