【冒頭の詩】
水を泳ぐ魚たち 楽しくのんびりと
スマートで目立ちたがり どこでも泳いで行ける
【物語のあらすじ】
「魚が口から卵を産む?!」。これはもちろんありえない話だが、こんな誤解を招いたのはテラピアという熱帯魚。テラピアは大量に卵を産んだ後、その卵を口に含んでおく。卵が外敵から食べられないようにするためだ。
ならば、こんな疑問がわくはず。テラピアお母さんは、どうやってご飯を食べるの?もちろん、卵を口に含んだ状態では食べることは出来ない。つまり、ひたすら空腹に耐えるのだ。我が子が卵からかえり、自分で泳げるようになるまではずっと。
このテラピアの偉大さ感慨を覚えるが、同時にこんなことにも気付く。「目で見たことが、そのまま真実なのではない」。
口から卵を産むように見えたテラピアは、実は口に含んだ卵を外へ出している最中だったのだ。これと同じように、目で見えたからといって、それが絶対の真実だとは限らない。固定観念にとらわれず、豊かな知恵を持ち、純粋な心で物事を見る。これこそが物事の真相を見極める鍵なのかもしれない。
【漢字について】
1、甲骨(こうこつ)文字:
四千年近い歴史を持つ漢字の中で、最古のものとして残っているのが甲骨文字。殷の時代、国にとって重要なことがあると、亀の甲羅や牛の骨を焼いて占った。そのひび割れで出た占いの結果は、刻して記録された。この際使われた文字が、ずばり甲骨文字。
2、金文(きんぶん)文字:
甲骨文字の後、つまり殷・周から秦・漢の時代まで使われた文字。青銅器に刻されたり、鋳込まれたりした。ここでの金は、青銅器を指す。当時は、官職に任命されたり、戦功を上げたりすると、それを青銅器に記録したという。
3、小篆(しょうてん)文字:
金文の後に誕生したのが篆書(てんしょ)。これは小篆と大篆に分かれる。秦の始皇帝は、ばらばらだった文字を統一し、標準書体を定めた。これが小篆だ。
4、楷書(かいしょ):
南北朝から隋唐の時代にかけて標準となった書体。漢の時代まで使われた隷書から発展したもの。