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うつ病―漢方の奥の手 泣くまで怒る

2010年08月15日

閉塞感が社会全体を覆い、人とのきずなも薄れ孤独さが満ちる現代社会で、うつ病に苦しむ人が後を絶たない。では、このうつ病とは一体何なのか。西洋医学の診断基準によれば、9項目の内5項目が当てはまり(番組は数年前に収録したものであり、現在は変わっています)、しかも2週間以上続く場合をうつ病と診断するという。例えば、不眠や集中力・気力の減退、活動性の低下などである。

漢方には、「うつ病」という言葉はないが、これまでずっと心を非常に大切なものとしてとらえてきた。「心は血脈をつかさどる」と「心は神明(精神)をつかさどる」という言葉が示すように、心(しん)は体に血液を送るほか精神活動も担うので、人にとっては実に肝心なのである。

うつ病への処方はなくとも、情緒不安定な場合の処方がもちろんある。例えば、後漢の張仲景が記したとされる『金匱要略(きんきょうようりゃく)』には、産後に精神的に不安定になった女性に対して、甘麦大棗湯(かんばくだいそうとう)を処方する、とある。

実は薬だけにとどまらない。手軽なケアとして、指圧がお勧めだ。頭のてっぺんにある「百会穴(ひゃくえけつ)」、眉間の中央にある「印堂(いんどう)」、そして足の裏の中央にある「湧泉(ゆうせん)」。これらは気持ちを落ち着けてくれるツボで、日頃からよく指圧するのがよい。

さらに驚きの奥の手もある。それは怒った時は、泣くまで怒ること。というのも「怒りは肝を傷つける」が、同時に「悲しみは怒りを制す」からだ。

もちろん、こんな奥の手に頼らないで済むのが一番。意地を捨てて淡白になると、全く別の世界が目の前に広がるかもしれない。 
 

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