【新唐人2009年11月11日付ニュース】11月9日、ヨーロッパの各地ではベルリンの壁崩壊20周年を祝うイベントが盛大に行われた。26カ国の首脳や政府要人がベルリンでの祝賀行事に出席し、各国のメディアも大々的に報道。中共の宣伝部からはこの報道について控えるよう通達され、当イベントに関する中国と西側諸国の報道は大きな開きを見せた。
11月8日より、ワルシャワ、パリ、プラハ、ドイツのライプチヒ、ベルリンなどのヨーロッパの各地では、ベルリンの壁崩壊20周年を祝うイベントが続々と展開。 11月9日、ドイツのメルケル首相、アメリカのヒラリー国務長官、イギリスのブラウン首相、フランスのサルコジ大統領、ロシアのメドヴェージェフ大統領がこの祝賀行事に出席した。
ヨーロッパ諸国が喜びに沸いている一方で、中華圏では台湾で簡単な記念式典が行われたほか、中国大陸やマカオなどでは記念活動は皆無で、メディアの報道もほとんど見かけない。5ヶ月前には天安門事件20周年の記念ムードに包まれていた香港でも、ベルリンの壁崩壊に関する行事は見られなかった。
北京当局は意図的に報道を避け、大陸では20社ほどの新聞社のみが言及。「中新網」は、「ベルリンの壁の倒壊は東西の冷戦の終焉の象徴」と極めて簡単に取り上げたのみで、ベルリンの壁崩壊が、ソビエトと東ヨーロッパ共産政権の崩壊の引き金となったことや其の意義については一切言及しなかった。
ベルリンの壁崩壊は東ドイツの共産独裁政権の崩壊の象徴でもある。ドイツの全国民が祝賀ムードに包まれている時、中共メディアは、「ドイツがお祝いムードを味わっているとき、アンケート調査によると、多くの東ドイツの人民は社会主義時代に戻る事を渇望しており、西側の資本主義には絶望している」と強調した。
しかし、ドイツ東部の「ライブチヒ人民日報」のアンケート調査によると、東西ドイツの約80%の民衆は、ベルリンの壁の崩壊はすべてのドイツ国民にとって幸運なことであると認識。東西ドイツでは各82%と88%の民衆が、「統一後のドイツで心地よく暮らしている」と答えた。
中共が意図的に報道を避けるには原因がある。1989年、軍隊を動員して武力で、平和的に抗議をしている学生を鎮圧した天安門事件が発生。しかしドイツでは、ライブチヒでの抗議活動がベルリンの壁を倒すきっかけとなった。この二つの事件に、中国ではいまだに公に触れてはならない。
香港浸会大学の政治および国際関係学部の陳家洛副教授はRFAの取材の際このように述べた。「ベルリンの壁崩壊の話題は内陸では依然禁物。それは壁の崩壊が人民の力を象徴し、民主は勝ち取ることができることを示し、これは中共が最も触れたくないもの。」「東西ドイツの統一については、共産主義の良し悪しに触れなければ、討論は許されるが、それ以外はタブーである。」